1.SSHについて
SSHとは、先進的な科学技術、理科・数学教育を通して、生徒の科学的能力や科学的思考力等を培い、将来の国際的な科学技術系の人材の育成を目指して文部科学省より指定されて行う研究開発事業のことです。この研究開発事業は指定期間が5年間(平成28年4月~平成33年3月)であり、この間、学習指導要領によらない教育課程の編成実施が可能となります。また、研究開発に伴う費用(備品、消耗品、講師の旅費、校外学習の旅費等)のほとんどは、文部科学省より支援されることになります。
2.木更津高校SSHが目指すもの
本校SSHの研究開発課題は、
『かずさ から世界へ!「開拓力」を伸ばす科学技術人材育成プロジェクト』
で、「科学的探究力」と「コミュニケーション力」を兼ね備え、かつ広い科学的素養を基礎としてグローバル社会で活躍できる「開拓力」を持った人材を育成することを目標としています。
3.本校におけるSSHの取組
このような目標を達成するために、以下のような様々な事業を実施していきます。
事業1 教科SS(スーパーサイエンス)およびその指導法の開発
(1) 学校設定教科・科目の設置
学校設定教科スーパーサイエンス(SS)として、探究KISARAZU-Ⅰ・Ⅱ等の学校設定科目を設置し、科学的な考え方や科学研究を進めていくために必要となる基礎的なスキルを学んでいきます。

●「探究KISARAZU-Ⅰ・Ⅱ」 (「探究KISARAZU‐Ⅲ」は希望者のみ実施)
「探究KISARAZU-Ⅰ」はSSHクラスの1年次に実施する科目で、クラスを2班に分けて少 人数で物理・化学の基礎実習を実施。また、夏季休業中に館山において野外実習を実施します(後述)。さらに、グループに分かれてテーマを設定した実験を行い、科学研究の手法を体験します。
「探究KISARAZU-Ⅱ」はSSHクラスの2年次に実施する科目で、グループごとに研究テーマを設定して1年間を通して課題研究を行うものです。その成果は、校内発表会はもとより各種の校外研究発表会で発表していきます。
●SS物理Ⅰ・Ⅱ、SS化学Ⅰ・Ⅱ、SS生物Ⅰ・Ⅱ、SS生物研究、SS地学Ⅰ、SS地学研究
SSクラスを対象として実施する理科科目はSS科目として、数多くの実験・実習を行いながら先進的な内容も含めて理科の各科目を深く学んでいきます。
●SS情報、SS保健、SS数学Ⅰ、SS数学Ⅱα、SS数学Ⅲα (αがSSHクラス対象)
数学や情報などの科目においても、SSH指定校にふさわしい充実した内容の授業を実施します。
(2) 野外実習・サイエンスツアー
1年次夏季休業中に、館山周辺において生物・地学分野を中心とした2泊3日の野外実習を実施します。お茶の水女子大学付属の研究センターに宿泊し、海岸での生物観察・地質調査などを行います。
2年次夏季休業中には、つくばサイエンスツアーとして、筑波研究学園都市を訪問し、複数の研究施設において各分野の第一線で活躍している研究者・技術者から講義や実験指導を受けます。
このほか、本校が以前より行っているアサギマダラのマーキング調査に参加することができます。
(3) 教科指導法の改善
アクティブ・ラーニングや各教科・科目間で連携した授業を導入し、生徒の主体的な学びを支援します。
事業2 企業・研究所・大学・高専・科学館との連携
(1) 木更津SEAコラボ
近隣の大学や企業、研究所などと連携して、主として休日や長期休業中に課外科学講座を実施します。SSHクラスは1講座以上の受講が必須となります。
【連携機関】 かずさDNA研究所、新日鐵住金(株)、千葉大学、日本大学、千葉科学大学、東京工業大学など
(2) 課題研究指導やSS講演会
大学や企業の専門家に、探求KISARAZU-Ⅱや各科学系部活動での課題研究の指導をしていただきます。また、全校を対象としてサイエンス講演会を実施します。
事業3 産官学が一体となった「かずさサイエンス・ネットワーク」の構築
(1) 近隣高校・高専との部活動連携
近隣の公立・私立の高校および木更津高専と、科学系部活動やSSHクラスの活動を通じて交流を深めます。
(2) 近隣小中学校との交流
小中学校生徒を対象とした科学実験教室などを通して、子供たちの科学に対する興味喚起を図ります。
(3) 行政との協力による科学教育の推進
一般市民を対象とした科学普及啓発活動や、教育委員会と協力した小中学校教員との交流会・学習会を実施するなどして、地域としての科学に対する教育力を向上させていきます。
事業4 世界に活動を広げる国際交流の推進
(1)科学英語活用能力の育成
近年、理系分野においても英語の重要性が叫ばれています。本校SSHでは、理科実験を英語で行ったり、研究成果を英語で発表したりする活動を通して、科学英語活用能力を育成します。
(2)海外研修
マレーシアへの海外研修を計画しています。全校生徒を対象として参加者を募り、現地の森林、生物、地質等の学習のほか、高校の訪問、課題研究発表等での生徒同士の交流、現地大学生同伴での活動などを予定しています。
4.SSHに関わる学校内の体制
木更津高校内に「SSH校内委員会」を設置し、さまざまな面からSSH事業の推進やSSHクラスの探究活動をサポートします。課題研究班、地域連携班、国際交流班、評価班、経理班等の部門に分かれ、それぞれの取組の企画や運営、評価を実施します。