日誌


2017/07/31

7月31日(月)みやざき中央新聞より

Tweet ThisSend to Facebook | by 日進中学校管理者
「社説より」
私はかつて16年間、進学塾で小学4年生から高校3年生を対象に、特に受験算数・
受験数学の指導をしてきました。
その塾は、超難関といわれる学校にバンバン合格者を送り出していて、特に灘校に
関しては、合格者数全国断トツ1位を誇っていました。
私は当時その塾で灘受験コースのリーダーを務めていました。

灘という難関校の合格者数において常に1位を取り続けることを至上命令とされていた
私たち講師陣は、やがてあることに気付くんです。それは「勉強だけを教えとったらあかん」
ということです。
なぜなら勉強だけ教えていて難関校に受かる子は、そもそも最初からやる気がある子です。
そんな子がたくさん集まって来た年はラッキーですが、そうじゃない年はエラいことになる
わけです。やる気のない彼らの心を開き、ハートに火をつけ、魂を揺さぶらなければなり
ません。これは、もはや人間探求以外の何ものでもありませんでした。

その探求の中で、私たち数名の講師たちは、どうあがいても逆らうことのできない、
人生を支配するいくつかの法則に気付いていくのです。
 
その塾は当時、京阪神地域に二十数か所教室を持つ中規模塾でした。
その中から仮に、神戸にある教室を「A教室」、大阪にある教室を「B教室」、京都にある
教室を「C教室」としてお話しします。
この塾では学年ごとに、すべての教室で統一テストを実施して、その偏差値で2か月に
一度、クラス分けをしていました。同じクラス帯なら、同じテキストを使って授業をし、
講師も教室を掛け持ちするので同じ講師です。
これから当時私たちが体験した非常に不思議な出来事をお伝えします。

この三つの教室の最上位クラスに「灘」を目指す受験者が10名ずついたと仮定します。
つまり、3教室合わせて30名の受験者です。そして、ある年、この30名の中から15名の
合格者が出たとします。
この15名の合格者が、それぞれ三つのクラスに5名ずつ分布していたら何も不思議ではありません。だって同じ学力の子が、同じテキストで、同じ講師から学んでいるわけですから。1名、2名くらいの誤差は出たとしても、5名平均で分布していれば問題ありません。 

ところがそうなりませんでした。合格者15名のうちの8名がA教室の生徒で、B教室は
平均的な5名、C教室は惨敗で2名でした。このうちB教室とC教室の違いは何だと
思いますか?  
これはすぐ分かりました。B教室の生徒は仲良しグループでした。
それに対してC教室にはいじめがありました。いじめのあるクラスで生徒が一番エネルギー
を割くのは勉強ではなく、いかにいじめられずに済むか、です。
このことがハッキリ分かってから私たちは、「受験は個人戦ではなく団体戦である」と確信しました。


次に私たちが考えたのは、圧倒的な合格者数を出したA教室は平均的なB教室と何が違ったのか、ということです。
そこで過去にさかのぼって、圧倒的な合格者を出したクラスにいた卒業生たちに「どんな
勉強をしたのか」「どんな教室の雰囲気だったのか」を聞いていきました。
その結果、私たちはとんでもないことを見つけました。なんとB教室が仲良しの「グループ」
だったのに対して、A教室は見事な「チーム」だったのです。「グループ」と「チーム」は
全然違います。何が違うか?

たとえば、勉強ひとつ取ってもC教室では友だちを出し抜こうとします。自分だけが隠れて
勉強して、「宿題やってない」と嘘をついて友だちを油断させ、出し抜こうとするんです。
B教室の子たちは仲はいいのですが、お互いの勉強に干渉しません。
ところが、A教室の彼らは、たとえば数学が得意な子は数学が苦手な子に数学を教える
ことで友だちの成績を引き上げようとします。
また、漫画を持ってきた子がいたとしましょう。C教室の子は誰かが先生にチクります。
B教室の子は誰も干渉しません。ところがA教室では友だちが注意するんです。

「おまえ、漫画なんか持ってきて何しとるんや。俺らはあの学校に全員で受かろうって
約束したんと違うんか。今は受験やろ。一緒に合格しようぜ。合格したらその漫画を回し
読みしようじゃないか」と。すると、周りの友だちもみんな「そうや! 漫画しまってこっち
来い」と言うんです。

塾のない日、C教室の子たちはゲームセンターに行きます。B教室の子たちはそれぞれ
自分の家で勉強します。ところがA教室の子たちは必ず誰かの家にみんなで集まって
勉強するんです。
A教室の子たちの合格体験記を読むと、時々こんな言葉があります。
「僕の合格は、このクラスの友だちがいなければ決して成し遂げられなかったと思う」と。
このように、お互いにサポートし合って全員で目標達成するという文化ができた時、
ものすごい力になっていくんです。

このことが分かった私たちリーダーは、自然と自分たちがやらなければならないことが
ハッキリと分かりました。それは、いかにA教室のような「チーム」を作り上げるか、です。
これからその法則のようなものをご紹介します。これはひとつの塾でできたものなので、
あくまで参考にとどめていただきたいのですが、私自身は学校の学級づくりや会社経営
にも応用できるのではないかと思っています。

なかなか、素敵な話でした。
学校生活でも、教職員集団でも、ぜひ、参考にしたいと思います。
ありがとうございました!!
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