被災高齢者支援お役立ち情報
 
清潔に保つ
 
東京都健康長寿医療センター看護部 皮膚・排泄ケア認定看護師 小林陽子
 

1.水や湯がなく清潔ケアが行えない場合

持参していない場合で、購入もできない状況であれば他の方法で行わなければなりませんが、現在、洗浄(水や湯)が不要で拭き取るだけでいい簡易洗浄剤やシャンプー、また、ウエットティッシュのような身体拭き用のシートなどが販売されていますので、それらを用いて洗髪や清拭など清潔ケアを行うのは大変有効です。また、これら清潔ケア用品も食糧や飲料水などと同様に常備しておくことをお勧めします。



上段左から
①    (株)スミス&ネフュー『セキューラCL®』
②    (株)アルケア『リモイスクレンズ®』
③    (株)持田ヘルスケア『スキナクレン®』
④    (株)ピジョン『ハビナース®』と『からださわやか 清拭タオル』
⑤    (株)ピップヘルス『入浴できない時に手軽に拭くだけ®』
*上段2種や下段一番右(ドライシャンプー)は部分的な洗浄に用いる
 

2.水はあるが湧かせない(湯がない)場合は

 ペットボトルに水を入れて、車の上などに置いておくとぬるま湯ができるため、それを利用する方法もあるようです。
 

3.水や湯はあるが、極力少量ですませたい場合は

1.洗浄剤を用いて洗浄する場合

シャンプーや石鹸などほとんどの洗浄剤は、泡になってはじめて洗浄効果が表れると言われています。また、泡だちがきめ細かいほど毛穴の奥など肌のすみずみまで洗浄成分を届け、汚れを逃がさず包み込み除去することができ、更に、すすぎも楽になります。少量の湯や水で効果的に洗浄するのであれば、洗浄剤をよく泡だて「泡で洗う」ことをお勧めします。



泡だての方法

①    泡だてネットを用いる
利点:誰でも簡単に泡が作れます。
欠点:一度は購入が必要です。使用後は濡れたまま放置すると細菌繁殖の原因となりますので乾燥させることが必要です。また、手(グローブ)が泡だらけになります。


湯と洗浄剤を含ませ揉む

②    手のひらに洗浄剤を垂らし、湯(水)を混ぜ空気を取り込み混ぜるように泡だてる
利点:購入は不要であり、手と湯と洗浄剤があれば可能です。
欠点:こつをつかむまで時間を要する場合がありますも。また、手(グローブ)が泡だらけになります。


湯と洗浄剤を含ませ混ぜるが、空気を取り込むように混ぜるのがPOINT

③    ビニール袋に洗浄剤や石鹸と少量の水(拭くのに使用するガーゼを入れてもよいでしょう)を入れ、袋の上から揉み、泡だてる
利点:一度に多くの量の泡が作れるため、1回作れば数か所に使用できます。また、手(グローブ)を汚さず行えます。
欠点:ビニール袋が必要です。また、使い捨てにする際はごみとなり、再利用する場合は濡れたまま放置してしまうと細菌繁殖の原因となりますので乾燥させることが必要です。


袋の外から揉む、または、振ると泡が出来る


2.洗浄剤を用いない場合

 洗浄剤は使用せずタオのみを用いて清拭を行う場合は、熱めの湯を準備しタオルを浸し、絞ったもので拭いていきます。熱めの湯を準備するのはケアの最後まで湯が冷えにくくするためであり、熱々のタオルのままでは拭かないようにして下さい。熱々のタオルも、身体を拭く前に一度広げるとすぐ冷めます。また、ごしごし擦ることで皮脂を過剰に除去してしまうため、乾燥を招き痒みを誘発したり、本来備え持っている皮膚のバリア機能を破綻させる恐れもあるため、ごしごし擦らず皮膚の上から押えるよう、つまみ取るような拭き方で行いましょう。

*皮膚のバリア機能:皮膚の表面は、弱酸性の皮脂膜という天然のバリアで覆われており、有害物質が体内へ侵入するのを防いでくれる機能を言います。
 

4.汚水入れ/汚水受け

 湯や水を使用する際には、汚水入れが必要となります。寝たきりの方へケアを実施する場合は、場所を選べないことが多く、バケツや洗面器などの他に紙おむつや吸水用のシート等を使用する場合があります。しかし、数枚必要になるためコストやごみの問題も出てきます。また、本来おむつは排泄物に使用するものであり、未使用のおむつとはいえその対象者や家族によっては、嫌悪感や自尊心の低下を招く場合もあります。安全性や簡便性などの視点からも、事前にきちんと説明し同意を得てから行う必要があります。
 

5.部分浴

 部分浴とは洗髪や陰部の洗浄、足浴など部分的に洗浄していく一つの方法です。
洗髪から足浴までの全身の清潔ケアを一度に行うには時間も労力もかかります。その為、「今日は洗髪と陰部洗浄と清拭」「明日は洗髪の代わりに足浴にしよう」等と部分浴を計画的に取り込み行うのも有効的といえます。

 入浴できない場合でも足浴は湯に浸かったように全身が温まります。その為、全身の保温や夜間の良眠、またリラックス効果をもたらします。清潔にする目的だけでなく、精神的な緊張をほぐしリラックス効果を得るという目的で行うのも良いと思われます。