被災高齢者支援お役立ち情報
 
体調変化を見逃さない:こんなサインに気づいたら
 
副所長 高橋龍太郎

 慢性病をもつことの多い高齢の方々では、ご自分から体調の変化を訴えたりしない場合でも病状が進行していたり、新たな病気が始まっていたりすることがあります。ここではそんな変化の手がかりとなるサイン(症状や徴候)とその特徴を示します。
 

1.話しぶりや会話の内容がいつもと違う

いつもと違う
《いつもと違う》

  もっとも重要なサインの一つですが、今まで経験したことのない人にわかりやすく説明するのは難しいかもしれません。その方の日ごろの様子を知っていることが前提となります。具体的には、会話が成り立たない、つじつまの合わないことを言う、といった明らかな異常から、どうもいつもとは違う、どことなく様子が変だ、などまで含まれてきます。

 このような時にはバイタルサインを測定してみることです。放っておくとすぐに眠ってしまうことはないか(意識障害の有無)、体温や血圧はどうか、など。身近に機器がなければ1分間の脈拍数と呼吸数を測定してみることも重要です。これらに何らかの異常があれば医療機関の受診をお勧めします。頻度の高い病気として尿路感染などの感染症、脱水、脳梗塞などの血管疾患です。

 

2.めまいがする

 耳鼻科の病気によるめまいは、ぐるぐる天井が回ったり、体の向きによってめまいが現れたり消えたりする場合が多くあります。一緒に出現した他の症状があれば注意が必要です。聴力低下や手足のしびれ、まひなどを伴う場合、病院で調べてもらいましょう。以前から時々軽いめまいがしていた方ではあまり心配はいりませんが、原因として、慢性の心肺疾患が少しずつ悪化し脳などに供給している血液量を保てなくなっているためであることもあります。
めまいがする
《めまいがする》

 

3.やせた、食欲がない

 若い方では、一定期間食欲が落ちれば体重も低下してきますので、食欲と体重は平行すると考えてよいでしょう。しかしながら、80歳を超えた高齢の方々で は、若者と同じくらい食べる方もありますが、その程度の食事で大丈夫なのかと思うくらい食の細い方も珍しくありません。そんな時には食欲低下の判断も簡単 でありません。およそ1年前の体重の記録があれば万全です。もとの体重の5%以上、あるいは4、5Kg以上減少していれば、まず胃腸病、特に胃がんや大腸 がんがないかどうか血液や便の検査をしたほうがよいでしょう。体重がわからなくても、ご自身やご家族、友人などに最近の様子を聞いたり、飲んでいる薬の悪 影響を考えてみることも大切です。
食欲がない
《食欲がない》

 

4.体がだるい

 倦怠感のことです。慣れない生活が続けば、どなたでも疲れがとれずよく眠れない、意欲がわかないといったことが現れるものです。誰にでも起こることだ、と考えてよいのかどうか、ここが思案のしどころです。体の変調は見られないかもしれません。しかし病気の多い高齢者では見逃しの危険も念頭に置くべきでしょう。もっとも頻度の高いものは、心不全、腎不全、貧血、そしてさまざまな悪性腫瘍です。最後の悪性腫瘍に関しては詳しい検査をしなければ判断できないこともありますが、他の病気は外来でできる一般的な血液、尿、心電図、レントゲン検査でおよそのことはわかります。これらに問題がない場合、もう一つ注意すべきなのはうつ病です。高齢期のうつ病は抑うつ的で悲しげとは限りません。
体がだるい
《体がだるい》

 

5.最後に一言

 健康の異変に気付くかどかは観察力にかかっています。これは経験だけで身につくものではありません。周りの人へ興味、関心をもっているか、もてるかが鍵を握ります。