アル・アマーナ代表
WCRP日本委員会女性部会事務局長
河田 尚子

 


「鏡の中のあなたと私」

 

 

 ここ数年、日本にやってくる世界各地からの観光客が増えている。その中には、イスラーム圏からの人たちも大勢いる。主にマレーシアやインドネシアからの旅行者が多いようだ。京都の神社仏閣でも、スカーフやベールをかぶったムスリム女性が写真撮影に夢中になっている姿をよく見かける。豚肉を使わず、イスラーム式に調理された「ハラール」の食事を出すレストランも増えつつある。

 しかしこうしたイスラーム教徒の増加に恐怖を感じる人たちも、日本には存在している。昨今のテロで日本人も犠牲になっている状況では仕方がないのかもしれないが、「ベールをかぶっている女性を見ると恐怖を感じる」「イスラーム式のやり方を押し通すのは、自分の国でやってくれ」というような意見もあるようだ。異なる文化の価値観を認めようとする多文化主義が叫ばれる一方、なぜ向こうは自分の文化や価値観を押し通そうとするのに、こちらがそれを受け入れなければいけないのか?という反発は、欧米だけでなく日本でも高まってきている。

 私自身はそれほど嫌な目にはあったことがないが、「日本は寛容な民族だから、排他的な一神教の人たちとは違う」という言葉はよく聞かされる。中には、「日本人はテロなんかやりませんからなあ」などと言う人も。オウム真理教の地下鉄サリン事件のことなど、忘れ果てているのだろうかとびっくりした。そもそも、1970年代から1980年代にかけては、国際テロリストといえば「日本赤軍」と相場が決まっていた。当時、ロンドンに旅行した時、ラフな服装で人相も悪かった?夫は、ヒースロー空港で別室に連れて行かれ、さんざん取り調べられた。まだ「イスラーム過激派」などという言葉が存在しなかったころのことだ。

 私たち日本人の大部分は、自分たちが平和を愛する、寛容な人間だと思って日々過ごしている。しかし、一歩日本の外に出てみると、まだまだ戦争の記憶を引きずって、「日本人は残虐」「好戦的」というイメージを持っている人も多い。留学や仕事で来日して、日本を大好きになる人もいる一方、部屋がなかなか借りられない、日本人の友だちができないなど、疎外感から「日本人は排他的」と感じる人もいる。最近では、大相撲の土俵問題や、官僚のセクハラ問題で、「日本人は女性差別的」というようなニュースが世界を駆け巡った。好戦的で、排他的で、女性差別的…。あれ?これって、一部の日本人が持っているイスラームのイメージと全く同じではありませんか?

 つき合ったことのない、理解できない人たちを「怖い」と感じる時、実は頭の中の映像に映っているのは、鏡の中の自分自身なのかもしれない。

(会報5月号より)

 

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