東大寺長老
WCRP日本委員会評議員
北河原 公敬


「平和の出発点は、一人ひとりの心から」

  東大寺は華厳宗を標榜しております。従いまして所依の経典は『華厳経』です。
 『華厳経』では「宇宙に存在するものは、すべて個としてあるのではなく、ありとあらゆる形でつながり、関わり合っている。そして無限の関係性の中に成り立っている」としています。
 その無限のつながりを、私たち人間は充分に認識できていないのが現実です。
 今申しましたこの法則は、私たちが生きる社会にも当然貫かれています。身近なところに例を挙げてみましょう。


 例えばいま自分の置かれている親族関係です。
 この世に自分が生まれ落ちたということは、両親がいたわけです。その両親にもまた両親がいて、さらに両親がいて・・・・・、と延々と遡ることができます。親族図を思い描いてみれば、より分かりやすくなります。自分を基点にした場合、その左右へ無限に枝葉が広がっていくさまが見てとれます。しかも、それぞれの一対の男女が出会うまでにも、どれだけの人の関わりとつながりがあったかを思うと、天文学的な数字になるでしょう。


 ここに自分が今こうして生きてこられたのは、数え切れない膨大な人との関わりの中で、絶えることなく続いた流れがあったからです。自分の知り得るもの以外のおかげによって自分は生きている。こうなると生きているというよりは、生かされているといった方が適切でしょう。
 壮大な話に思えるかもしれませんが、これが私たちの日常に起きていることであり、ごく普通のこととして見ている暮らしの背景なのです。私たちが生きていられるのは、自分たちの存在を超えたもののおかげによります。


 この真実を悟ったとき、自らを生かさせてくれている他者への感謝の気持ちが生じてきます。こういう話をするのは、生活していく上での事実からいっても、ごく普通のことのはずです。
 しかしながら近年、先ほど述べたような、個人を成り立たせている無限の生命のつながりについて、話をする場が少なくなっているような気がいたします。是非、学校や家庭で話をして欲しいと思います。


 それが宗教心と呼ばれるものを養うのなら、生きていくことに日々感謝する気持ちが宿るでしょう。
 宗教心とは、特定の宗教を信仰しなさいと強要することで芽生えるものではないと思います。ましてや「こっちの教えの方がいい」と教化しにかかるものでもありません。
 大事なことは「これは尊ぶべきものである」「敬意を払うべきものがこの世にある」と知ることでしょう。
 この心を持つ限りにおいて、宗教や宗派の違いを乗り越えることができるのではないでしょうか。

(会報10月号より)

 

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