天台宗宗務総長
WCRP 日本委員会理事
杜多道雄

「風に吹かれて」


二〇一六年のノーベル文学賞を受賞したアメリカの歌手ボブ・ディランは、ヒット曲『風に吹かれて』のなかで、私たちに「どれだけの砲弾が飛び交えば、撃つことを止めることができるのだろう」「どれくらいの人が死ねば、あまりに多くの人々が死んだことに気づくのだろう」と問いかけました。この歌が流行ったのはベトナム戦争が熾烈さを増す真っ只中で、日本を含めた世界各地で反戦デモが繰り広げられていました。当時、大学生だった私は、この歌を聴くたびに戦争に対するやりきれなさを感じておりました。二十世紀は戦争と大量殺戮の時代だったといわれております。特に二つの大戦は、未曾有の惨禍をもたらしました。

これまでに人類は、平和を守るためといって備えをし、平和のためとの大義を掲げて戦争を始め、いつしかそれが平和を破壊する無意味な戦争になっていった、という経験を繰り返してきました。

ベルリンの壁が崩壊し、平和の到来が期待されたのもつかの間、その後もテロや核兵器の脅威に晒されており、いったいいつまで続くのかと、『風に吹かれて』の歌詞がいつも脳裏をよぎります。

我が国は原爆の唯一の被爆国ですから、核攻撃が破滅的で無差別的な大量殺戮の惨禍をもたらすことを痛いほど知っています。そして半世紀以上にわたり苦しみを生み続けている現実を、決して忘れてはおりません。

現在、世界を不安に陥れているテロや武力紛争の背後には宗教があるとしばしば指摘されます。しかし、問題となるのは特定の宗教ではなく、自らの限られた宗教観のみを正義として他者を批判するという独善的な姿勢です。そのような考えからは決して世界平和は訪れません。

しかし、一九八六年アッシジにおいて、諸宗教が互いの違いを認めつつ、尊重し合い、共に平和への祈りを捧げる集いが開催されました。この精神を継承し、日本でも翌年に日本宗教代表者会議により比叡山宗教サミットが実現し、回を重ねて今年で三十二回目を迎えます。その間、宗教宗派の垣根を越えて、宗教間の対話を促進し相互理解を深める努力を重ね、世界の恒久平和実現のため共に祈りを捧げてまいりました。

誰しもが望むのに平和の実現は容易ではありませんが、このサミットで培われた諸宗教間の信頼と連帯をより強固にし、今後とも世界平和実現に向けて行動してまいりたいと存じます。白鳩が羽を休める日が訪れるまで。



 

(会報8月号より)

 

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