魂の編集長 水谷謹人 「みやざき中央新聞より」
先月から公開されている吉永小百合、天海祐希共演の映画『最高の人生の見つけ方』は、同名のハリウッド映画のリメイク作品である。
J(ジャック)・ニコルソン、M(モーガン)・フリーマンが共演した映画は、余命宣告された二人の老人が病室で意気投合し、「死ぬまでにやりたいことリスト」を作って病院を飛び出し、一つひとつ実行していく物語だ。
邦画では、余命宣告された70歳の主婦・幸枝を吉永小百合が、実業家の女社長・マ子を天海祐希が演じている。
幸枝は病院で「死ぬまでにやりたいこと」と書かれた手帳を偶然拾い、それが12歳で亡くなった少女のものだと知る。
幸枝とマ子は、少女に代わって手帳に書かれた項目を自分たちが死ぬまでに全部やろうと決意する。最初にやったのはスカイダイビングだった。
元々の映画のタイトルは『バケツリスト(The Bucket List)』。直訳すると「棺桶リスト」で、意味は「死ぬまでにやりたいこと」だそうだ。それが邦題『最高の人生の見つけ方』になった。
映画のどのシーンを切り取っても、二人が「余命」という運命に体当たりしているのを感じずにはいられない。それが「最高の人生」ということなのだろう。
ところが、余命宣告されなくても死を意識し、自分の運命に体当たりして生き方を変えた女性がいる。広告業界で「これ以上働いたら死ぬんじゃないか」というほど働いていた坂田ミギーさんだ。
ミギーさんの日課は早朝から深夜まで働くこと。仕事以外の時間と言えば、食事と睡眠、あとシャワーとトイレだけ。
体に異変が起きたのは会社に泊まっていた3日目。嬉しくも悲しくもないのに涙が止まらなくなった。さらに数日後、吐き気を催してトイレに行くと吐血して便器が真っ赤になった。「私は社畜か。このままだと死ぬ」と思った。
彼女は退職して旅に出ることにした。見たこともないものを見て、出会ったこともない人たちと出会い、やったこともないことをやってみようと決意した。
恋人に相談すると乗ってきた。最初にミギーさんが出発し、数日後に南米で合流しようということになった。
ところが、出発直前に別れ話を持ち掛けられた。その失恋の心境を「バンジージャンプをしたら紐が付いていなかった」「恋心が喪中のまま旅立った」と、著書『旅がなければ死んでいた』(KKベストセラーズ)の中で書いている。
モンゴルに行った。遊牧民「ツァータン」に会いたいと希望した。現地の人は「無理」と言ったが頼み込んだ。車で12時間かけてツァータンのいそうな村まで行った。そこでも「無理」と言われたが、彼女は諦めない。翌日は雨。車が行けない道なき道を馬に乗って5時間。やっとツァータンのテントに辿り着いた。
ネパールで出会った僧侶に悩みを打ち明けた時は、「1日2回、短い時間でもいい。『自分にとってよく生きるとは何か』『本当の成功とは何か』を考えなさい」と言われた。その日を境に、この旅の行先を自分の人生の行先と重ねた。
著書の中に全裸体験をする話が二か所ある。一つはギリシャのガヴドス島だ。そこは夏の間、欧州から観光客が押し寄せる。ホテルはない。各々ビーチにテントを張り、全裸で日常を過ごす。ミギーさんは服を着ていることに違和感を覚え、全て脱ぎ捨てた。「何という開放感。今私と世界を隔てるものはない」と思った。
もう一つはアメリカのポートランド。この街で毎年「ネイキッド・バイク・ライド」というお祭りがある。裸で自転車に乗ってパレードする。それに参加した。
この本を読もうと思ったきっかけは目次にあった一つの章、「この気持ちに名前をつける勇気はない」に目が留まったからだ。得体のしれない気持ちの高ぶりに彼女は「恋」という名前を付けた。旅の途中で素敵な出会いがあったらしい。
宣告されずとも全ての人が「余命」という運命を生きている。その運命に体当たりしたら最高の人生が見つかるだろう。
私にとっては、この話は「ヒット」でした。
いつも、人生については考えている方ですので・・・・・・。
来年は「還暦」です。
残りの生き方、第2の人生を考えるとき、参考になるお話しでした。
宣告されずとも全ての人が「余命」という運命を生きている。
頭では、分かっていますが解決できない「難しい」課題の一つです。
毎日毎日を精一杯生きるには・・・・・。
後悔しないように生きたいものです!!
親愛なる日中健児のみなさん!
あなたの「死ぬまでにやりたいこと!」は何ですか?