「みやざき中央新聞」より
4月1日、1名の新入社員を迎え入れ、入社式を行った。
その後、宮崎県社会保険労務士会会長の橋口剛和さんに講話をしてもらった。
題して『働き方改革、その先にあるもの』
実は、今月1日から「働き方改革関連法」が順次施行されていくそうだ。
その中の一つに「年次有給休暇の確実な取得」がある。
企業の規模の大小にかかわらず、この4月から「年休」を最低5日は取得しなければ
ならなくなった。
今までは、「年休」を取るか取らないかは本人の自由だった。
また「年休」は上司に申請して取得させてもらっていたが、職場によっては申請しにくい状況
もあった。それが義務化されたのだ。
これからは上司が部下に聞き取りをし、休むおおよその日程を予め決めるという。
さて、「働き方改革」という言葉を耳にするようになって久しい。
国が進めるこの改革は、働く人一人ひとりのライフスタイルに合った、働きやすい職場環境
をつくろうというものだ。
二つの背景がある。
20年ほど前から「過労死」が社会問題となり、裁判の度にマスコミを賑わせていたが、
働く現場はなかなか変わらなかった。
「会社も大事だが、生活も同じくらい大事」という趣旨の法律を整備するなどして、
国が強制的に介入しないと、会社に人生を捧げてきた旧世代の意識も、働く現場も
変わらないようだ。
もう一つは、30年ほど前から下降線をたどってきた出生率である。
その世代が社会人になってきた。つまり今労働力が足りない。
それに加えて、生まれた時から豊かな環境に育った彼らには「食べるために働く」とか
「仕事に人生を捧げる」という発想はないだろう。
やりたいことが見つかればすぐに退職してしまったり、自分に合った仕事を求めて転職
を繰り返す人も少なくない。
そんな時代に、経営者の側に立って働く人の心のサポートをしているカウンセラーの
川西由美子さん(ランスタッドEAP総研所長)が面白い提案をしているのを日経新聞で
見つけた。
「働き方改革は、遊び方改革と一緒に進めていかないと効果は上がらない」である。
川西さんは言う。「昔から『仕事のできる人は遊びも上手』といわれています。
人格形成やネットワークづくりにおいて『遊び』は大いに役立ちます。
仕事の業績は従業員がきちんと遊んでいるかどうかが成否を分けるポイントです」と。
最近、「エクストリーム出社協会」という団体を知った。
「エクストリーム」とは「過激」とか「極端」という意味である。
この協会は、「全力で遊び、全力で働こう」と呼びかけている。
何が「エクストリーム」なのかというと、その「遊び」を朝の出社前の時間にやろうという
のである。そういう人を「出社ニスト」と呼ぶ。
朝一で「築地」などの卸売市場に行って海の幸を堪能してから出社したり、
禅寺で座禅をしてから出社したり、温泉に入ってからの「湯上り出社」の人もいる。
グループ朝活として朝6時からの「合コン」がある。
7時からの2次会では気の合ったお相手とモーニングセットを食べて出社するとか。
ルールは「平日の朝であること」と「会社に遅刻しないこと」だ。
あくまでも趣旨は「仕事を充実させるために遊びを充実させる」なので、
朝活で疲れてその日の仕事ができないということがないように、自分が楽しいと思える範囲
で遊ぶことが大事なのだ。
何よりも非日常的な時間と空間をフルに使って遊ぶことでワクワク感や高揚感が得られ、
それがリフレッシュ効果に繋がり、仕事に対するモチベーションもアップするらしい。
冒頭に紹介した橋口さんが講話の中で訴えていた。
「国が進める働き方改革の先に、『わが社の働き方改革』もあれば、
『私の働き方改革』もある。
睡眠と仕事以外の8時間をどう有効活用するか。
これはチャレンジです」と。
なるほど、改革とはまさに「挑戦」である。仕事も遊びも。