今回の話題は、対話(話し合い活動)における「役割分担」についてです。
学び合いでは、グループ編成も生徒主体で行い、自分たちで関係を作らせることに力点を置いているので、役割を分担についてほとんど言及されていません。学びの共同体では、机の配置の工夫については言われていますが、話し合いでの役割分担に関しては、これというこだわりはないようです。対話(話し合い活動)における役割分担の重要性を主に主張しているのは、協同学習のグループのようです。
協同学習では、グループの各メンバーは、自分たちが与えられた課題を学習することと、その課題に関して仲間全員の学びを確実にする責任が求められます。個人の成功はグループの成功と結びついていて、グループの目標を達成するために、お互いに助け合い、尊重し合う必要があるという基本理念を軸にグループ活動を位置づけています。したがって、目標達成に対して、個人およびグループには責任があり、割り当てられた役割を認識し、確実にその責任を果たすことが求められます。
役割分担の代表的な例は、次のとおりです。
①進行係:司会進行を行う。グループの活動が課題からそれていないかを意識して進行
していく。
②時間係:時間を計り、グループが制限時間内に活動できるように声をかける。
③激励・褒め係:良いアイディアを述べたり、役割を上手く果たした仲間を褒める。
④観察・記録係:グループの仲間が協力して活動を行っているかチェックする。話し合
った内容をメモ、記録する。
だだし、役割は固定せず、輪番制などにして平等に責任を負うことで、いろいろなスキルを身に付けさせることを目指しています。
そして、グループが上手く機能しているかどうか振り返る時間を設け、改善策を考えさせることも、協同学習では重視しています。
役割の中身については、あえて分担する必要があるのかと思われるものもありますが、どんな役割を担えばよいのかをまずは学習させ、自分たちでその役割を自覚し、応用していけるようにすることで成長させられるような気がします。
ただ「話し合いなさい」といって話し合わせることの弊害を認識し、明確な目的意識と責任を持たせ、より深い学びを実現させるというスタンスや、すべての生徒に話し合いの技術やリーダーシップを身につけさせようという意図は十分理解できる気がします。アクティブラーニング型の授業の入り口としては入りやすいかも知れません。是非トライしてみてください。グループ技法の具体例を知るには、『先生のためのアイディアブック―協同学習の基本原則とテクニック』(ジョージ・ジェイコブズ他)がおすすめです。