魂の編集長 水谷謹人
天文台全国大会の記念講演を依頼された話は、先々週の社説で触れた。
そう言えば、美術館や博物館、動物園などの社会教育施設には何度も訪れたが、天文台には行ったことがなかった。これを機に行ってみようと思った。
雨の日の動物園が楽しくないように、「夜空の動物園」に行くのも晴れた夜がいい。星のパンダや象はいないが、「白鳥(ハクチョウ)」や「子熊(コグマ)」「山羊(ヤギ)」たちが観られる。ただ、今はどこの天文台にも最先端のテクノロジーと連動したプラネタリウムがあるので、日中でも十分星空を満喫できる。
「星」と一口に言っても恒星、衛星、惑星と、いろいろある。自ら光を放つ星は恒星だ。地球から最も近い恒星は太陽。その光が地球に届くのに8分ほどかかるという。あの輝きは8分前に放たれた光だそうだ。
そんな太陽よりもっと遠くにある恒星が夜空に輝く星々である。例えば「おおいぬ座」のシリウスの光が地球に届くのに7年かかるという。もしシリウスを見つけられたら、それは7年前に放たれた光を観ていることになる。中には1億年前、10億年前の光もあるというから驚きだ。
「我々は過去の光を見ている」と言ったが、夜空を見上げて輝かしい未来の光を想像した男がいる。イギリス出身のSF作家・アーサー・C・クラークである。映画『2001年宇宙の旅』の原作者と言えばお分かりだろうか。
クラーク52歳の時、ある話題に世界中が興奮していた。アポロ11号が月面に着陸し、人類がついに月に降り立った。1969年7月20日のことである。
その時、クラークは思った。「50年後の世界はどうなっているんだろう」。彼が思い描いた50年後とは2019年である。
月面探査という使命を帯びた「アポロ計画」は、1972年までに12人の宇宙飛行士を月面に送って終了した。
クラークは確信したに違いない。「50年後には人類は月で生活している」と。
彼は17年の歳月をかけて、一冊の本を書き上げた。『アーサー・C・クラークの2019年7月20日』(旺文社刊)である。
それは「月面移住者からの手紙」から始まり、2019年の人たちがどんな生活をしているか。政治・経済、教育・医療、戦争に至るまで克明に描かれている。
「病院の一日」という章では、病院はレジャー施設の中に併設されていて、そこは病気を治す施設ではなく、病気を予防し、健康を維持するための施設になっていた。経営するのは企業だ。病院とホテルが一つになった「ホスピテル」があり、「癒そう心と体」と題して、週末に健康診断とレジャーを兼ね備えたサービスを提供していた。
「教育」という章では、教師は大学のビデオスタジオから授業をする。生徒たちは遠く離れたそれぞれの自宅で授業を受けている。実物大の映像を受信するので、みんな同じ教室にいるような感覚で学んでいる。
「旅」という章では、シンガポールからロサンゼルスまで所要時間2時間10分の飛行機が登場していた。
クラークは2008年に没した。彼が夢見た未来を、我々は今生きている。かなり近い形で実現しているものもあって興味深い。ただ、「月面移住者からの手紙」には楽しそうな月での生活が書かれていたわけではなかった。
そう言えば、あれから「月に行く」という国家プロジェクトを掲げた国は一国も出ていない。莫大なコストがかかるからだろう。でもそれ以上に、50年前、月面の映像を見て、あそこに楽しい生活を人類は思い描けなかったのではないか。「あそこまで行って生活しなくてもいいではないか」と。
「人生は山あり谷あり」という。これは、良いこともあれば悪いこともある人生を例えることわざだが、ちょっと待て。山には美しい緑があり、動物がいる。谷にはきれいな川が流れ、魚がいる。そんな地球だからいい人生になるのではないか。
月面着陸50周年を記念して思う。地球では山でも谷でも楽しめる。
さて、50年後、地球は?月は?どうなっているのでしょうか?
私は、たぶん、この世にはいませんが、
親愛なる日中健児のみなさんは、丁度、「定年を迎えるころ?(定年が65歳ならば)」
一仕事を終わって、第2の人生をという時期です。
どんな仕事に就きますか?
そして、第2の人生は・・・・・?
まだまだ先の話?と思っていませんか?
意外と早いものですし、時代の流れも速いかも?
いろいろ考えてみることは「夢の実現」的には有効ですよ!!
がんばれ!!日中健児!!