魂の編集長 水谷謹人より
よく「時間がない」という言葉を耳にする。それは得てして人間にとって普遍的に価値あることに費やす時間がない時に使われることが多い。たとえば、本を読む時間とか、映画を観る時間、美術館に行く時間、あるいは休日に家族と過ごす時間、親孝行する時間、健康のために運動する時間等々。
誰にとっても1日は24時間しかないので、睡眠時間を除いた活動時間をどう使うか、その差が個々人の人生の豊かさの差だ。そう思ってきた。しかしそれ以上に大切なことがあることを最近知った。
それは活動時間ではなく、睡眠時間である。
評論家の勝間和代さんが、ネット動画で24時間の有効な使い方について話していた。彼女はまず8時間の睡眠時間を先に引いて、残りの16時間でやるべきことをやると決めている。
面白かったのは、16時間という活動時間をどう使っているかではなく、8時間という睡眠時間が16時間の質の高さを決定しているというのである。8時間、少なくとも7時間の睡眠時間がないと、活動時間の「すべて」がうまくいかないと勝間さんは言い切る。
もちろん、どうしても忙しい日など、単発的に睡眠時間を削るのは例外として、7時間に満たない睡眠時間が慢性的になってしまうと次のようなデメリットがある。
①免疫力が下がり病気になりやすい。②イライラしやすくなりメンタルヘルスに不調をきたす。③運動能力が低下する。④注意力が散漫になり仕事のパフォーマンスが落ちる。⑤日常的なストレスが老化の速度を速める等々。結局、睡眠不足にはいいことが何一つない。
そして「それらのすべてを食い止めるのは7時間から8時間の睡眠以外にない!」と勝間さんは断言する。
「睡眠を疎かにした途端、死に向かう速度に勢いがつくんです」と。
そうは言っても世の中には寝る間も惜しんで世のため、人のために働いている人もいる。それは「命を削って」と言い換えてもいいかもしれない。
勤勉であることが美徳であったこの国は、寝る間も惜しんで頑張ってきた人を美化し過ぎてきた感も無きにしも非ず。睡眠不足が原因ですぐ病気になるわけではないので、つい頑張ってしまうのだ。
勝間さんは言う。「それでも8時間寝た時と比べると、明らかに睡眠時間の短い時の仕事のパフォーマンスは落ちます。忙しいから寝る時間を削るのは本末転倒。寝ることは食べることより、運動することより大事。世の中で一番大切なものです」
この話を聞いた上で高島徹治著『「寝る前30分」を変えなさい』(PHP文庫)を読んだら、さらに睡眠に対する考え方が変わった。
高島さんによると、睡眠には二つの役割があるという。一つは勝間さんが言う「最適化」である。肉体的な疲労回復だけではなく、心の状態も最適化してくれる。昨日の嫌なことを忘れて、気持ちのいい朝を迎えられるように睡眠がリセットしてくれるのだ。
もう一つは、「インプット化」。起きている時に学んだことを脳が記憶するのは寝ている間しかない。だから成績のいい子ほどよく寝ているのではないか。
とどのつまり睡眠中、肉体は休んでいるが、脳は働いている。そのためにも十二分な睡眠時間にプラスして、良質な睡眠が大事だと高島さんは言う。それが「寝る前の30分を変えなさい」である。
具体的には自分にとって楽しいことで、かつ、成長や成果が実感できることをする。それを習慣にする。
たとえば、勉強や読書。幼児には絵本の読み聞かせ。仕事のアイデアを考えるのもいい。本紙を読んで気になったところにラインマーカーを引くというのはどうだろう。それから日記を付けるなら最後に「だから良かった」とか「いい日だった」とか「メデタシ、メデタシ」と書き添えるといいそうだ。
良質な睡眠をつくることで気持ちのいい朝を迎えられる。するとその日はいい1日になる。そんな日が毎日続くといい1年になり、やがていい人生になる。
そう信じて実行する際、ワクワクして眠れなくなるということがないように。
保健のヘルピータイムでも「睡眠の重要性」を学んだと思います。
実際に実感している人もいるのでは???
とはいっても、受験生に「睡眠時間を多くとる」ことは難しいかもしれません。
しかし、「睡眠」の質を上げるとか?受験が終わったら「十分な睡眠」を取るとか?
ただ、気持ちの良い「睡眠」が気持ちの良い朝につながり、気持ちの良い一日に!!
毎日毎日の積み重ねですが、その基本は「睡眠」なのかもしれません。
「寝る子は育つ!!」
大人でも言えることなのかもしれませんね!
寝られるときは、寝ましょう!!
がんばれ!!日中健児!!