前回の続きです。授業の中に組み込むだけでなく、学級活動や委員会などで、子どもたちが自分たちの現状を捉えやすくしたり、新たなプロジェクトを進めたりする上で有効な参加型学習ですが、発表の仕方や共有の仕方にもいろいろな手法があります。人数、グループ数、時間によって適切な手法を選ぶとよいとされています。
ブレインストーミングなどで出たアイディアの基本的な共有方法としては、①グループに関係なく挙手。②全てのグループが均等に発表できるように、成果物を全部発表するのではなく、各グループ1つまたは2~3つずつ順番に発表する。③1つのグループがアイディアを全て発表し、そこに出ていなかったものを他のグループが付け足す。などがあります。基本的な方法なので、先生方もやられているのではないかと思います。
すでに出たアイディアは省いて発表すると時間を短縮できます。出てきた意見はすべて板書し、「質問はないですか」「もう少し詳しく聞いてみたいものはありますか」と参加者に確認すると丁寧です。ファシリテーターが理解できないところがあった場合は、「これについてもう少し教えてください」と発言者に聞いてみることで全体の理解を深めることができます。ファシリテーターが想定していなかった、もしくは少々違うと思われる意見も、まずはすべて受け止め、板書していくことが大事です。この場合は、意見が出終わった時点で「違和感のあるものはありますか」と参加者に聞いたり、気になる答えについては「これはどう思いますか」と参加者に聞いたりする方法もあります。ただ、参加者が違和感をもたなければそのままにし、もし違和感を共有できたとしても、その意見を消さずに()で括っておくなどして合意形成のプロセスを残しておくとよいでしょう。
発表の方法としては、①ポップコーン方式②プレゼンテーション③ギャラリー方式④成果物の回し読み⑤マゴリス・ウィール⑥ビンゴ⑦グループを解体して共有などがあります。
ポップコーン形式は、意見を出しやすいもの、たくさんのアイディアがあるものを、丸でフライパンの中でポップコーンが弾けるように、挙手をせずにどんどん発表していく方法です。
ギャラリー方式は、成果物を歩いて見て回ることで共有する方法で、ブレインストーミング、カード式整理法、対比表など補足説明の必要のない成果物の共有に向いています。マゴリス・ウィールは、二重の円を作り、内側の円の人と外側の円の人は向かい合ってペアになり、お互いのアイディアを伝え合います。数分ごとに内側の円の人が時計回りに隣に1人ずれ、相手を変えながら同じことを繰り返します。ビンゴは、A4用紙を3×3のマス目に区切り、9分割します。気づいたことや見つけたもの、アイディアを1マスに1つずつ書き込み、書き込んだ内容をペアで発表し、共通するアイディアがあれば、○をつけるという方式です。これらの方式の注意点など詳しいことは、参加型アクティビティ集コミュニケーション編を参照下さい。