2018/11/07 | 11月7日(水)「ラミレスの法則」 | | by 日進中学校管理者 |
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「ラミレスの法則」
僕の仕事はテレビCMの監督です。
大学を卒業して入ったのが㈱東北新社という会社です。
そしてある日、「企画演出部」という部署に異動になり、そこでディレクターの仕事を
覚えていきました。
そこに「恐怖の先輩」がいました。
その師匠に怒られないため、僕は常に顔色をうかがい、喜んでもらうための作戦をいつも
考えました。この作戦は今でも、良いCMを作る上で役に立っています。
監督デビューは1983年で、ナショナルの換気扇のCMでした。
その1本で衝撃的なデビューを果たし、次から次に仕事が舞い込んでくる・・・ということは
全然ありませんでした(笑)。
今やっているのはサントリーの「伊右衛門」のCMです。
「こんなに美味しそうに飲んだらサントリーさん喜ぶだろうなぁ」と広告主さんの顔を
思い浮かべながら作っています。
さらに想像するのは視聴者の皆さんが喜んでいる顔です。
そのために大切にしているのが「ラミレスの法則」です。
プロ野球の横浜ベイスターズのラミレス監督の話を聴いた時、
「日本で成功するためには、コーチにアドバイスを受けた時すぐに『はい、分かりました』
と言うことが必要」と語っていました。
それ以後、僕もびっくりするような要望をプロデューサーから言われても、
まずは「はい、分かりました」と答えています。
でもその後どうしようって悩むんですけどね(笑)。
人の心に「!」を付ける
もう一つ実践していることがあります。
それは、とんねるずの石橋貴明さんと一緒に『料理の鉄人』で
有名な周富徳(しゅう・とみとく)さんの店に行った時のことです。
「究極のラーメンを作った」と言って周さんが持ってきたラーメンは本当に美味しかったです。
ところが石橋さんは、「周さん、これダメだよ。ラーメンにはネギがないと」と言うんです。
びっくりしました。
周さんは怒るどころか、「ネギか、それやってみよう」と言って、その場でネギを入れたんです。そして「これ、いいね」と言いました。
CM業界も同じです。
広告主はプロじゃないからこそ、変な常識にとらわれずに平気で「突拍子のない注文」
をしてきたりします。
だからそんな時は、僕は心の中で「周富徳、周富徳・・・」と唱えます。
そうやって心を落ち着かせ、プライドを捨てて、「それ、いいですね。やってみましょう!」
と答えるんです。
僕がCMを作る上でいつも考えるのは、「格好いい!」とか「綺麗!」とか、
映像を見た人の心に「!」を付けることです。
商品を買ってもらうために、まずは見た人の心に「!」を付ける。
そうして心をプラスに動かし、好きになってもらう。
そのために必要なのは「想像心」です。
これは僕の造語なんですが、見る人の心にどうすれば「!」を付けられるか、
ひたすら視聴者の心を想像するのです。
CMを見る人の心を限りなく想像していくこと、これが僕の「喜んでもらイズム」なんですね。
「はい!分かりました!」
「それいいですね!」と言ってしまえば、
そのように「行動するしか」無くなっていくのでしょうね。
そこに「想像力」が働けば、「!」が付くのかもしれません。
考えてから「返事する」ことが大切だよ!という人もいます。
中には、「言い訳」が先に出る人もいるかもしれません。
しかし、時には、「はい!分かりました!」と返事をして想像力を働かせる!
そんな時があっても良いのかもしれません。
自分自身と違っているから「いいえ?できません?」とばかり言っていては
成長する機会を逃すのかもしれません。
みなさんは、どう思われますか??