匠プロモーション代表 小坂達也さんの講演より
世界の国歌をみてみると、すごく勇猛だったり、力強い歌詞のものがとても多いです。
特に大きな革命があった国や、周辺国との戦争が絶えなかった国は、国歌も戦いへと
向かう歌になる傾向があります。
例えばアメリカの国歌は、「砲弾が赤く光を放ち宙で炸裂する中/我等の旗は夜通し翻って
いた/ああ、星条旗はまだたなびいているか/自由の地、勇者の故郷の上に!」という
歌詞がありますし、中国にも「敵の砲火に立ち向かうのだ! 進め!」という一節があります。
フランスもすごく勇ましいです。「武器を取るのだ、我が市民よ!/隊列を整えよ!/敵の不
浄なる血で耕地を染めあげよ!」…なかなかすごいですね。
日本の国歌である『君が代』は、世界の国歌の中でも特にシンプルで慈愛に満ちた歌です。
元は「古今和歌集」という書物に収められた千年前の和歌で、これにメロディがつけられて
今の歌になりました。
この「君」という言葉が天皇を指しているのか、それとも単に「あなた」という意味なのかなど、
歌の解釈には諸説あります。
そんな中で私は、この『君が代』は愛の歌だと思っています。
日本最初の夫婦であるイザナキの「キ」とイザナミの「ミ」を合わせると「キミ」になりますね。
そしてその「代(時代)」が「千代に八千代に」。
つまり「愛し合う人と人の時代が永遠に続きますように」
そんな意味だったら素敵だと思いませんか?
そしてこの歌を国歌と定めるところにも、日本という国の精神が怒りや苦しみ、悲しみでは
なく、誰かの幸せを願う気持ちや慈愛の心によってつくられたということが伺えますね。
古事記に「国譲り」というシーンがあります。国造りを成し遂げた国津神・オオクニヌシの元
へ、高天原からアマテラスの使者として二柱の神様がやってきます。
そのうちの一柱、武神・タケミカヅチが、アマテラスの言葉を伝えます。
「汝がうしはける葦原中国(あしはらのなかつくに)は、我が御子のしらす国ぞ」。
「あなたが所有しているこの国は、本来私の子孫(ニニギ)が慈愛をもって民と共に治める国
です」という意味です。
「ウシハク」とは「所有する」ということです。
つまり「うしはける国」とは独裁国家のようなもので、それは日本のよい在り方とは言えない、
と言ったのですね。
そして、「シラス」は「知らす」「治らす」等と書きます。
互いに情報交換し、知恵を絞り、力を合わせ、慈愛に満ちた心で国を治める、
という「和」の精神を表しています。
私たちがこれからも目指すべきはこの「シラス国」の在り方なのです。
天岩戸にアマテラスが籠ってしまった時、神々は知恵を絞り、協力して、再び日の光を
取り戻しました。これこそ「シラス」です。
皆さんもぜひ会社や家族など、周りの人たちと「シラス」場を作っていってください。