「みやざき中央新聞」より
私の生まれ育った長野県の南の外れに「伊那地方」というところがあります。
そこには寒天を作っている会社がいくつかあり、『かんてんぱぱ』という商品を作っている
「伊那食品工業」もその一つです。
私はそこに行って打ちのめされた経験があります。
会社の創業50周年記念に呼んでもらった時に、受付でにっこり、本当にきれいな笑顔の
女性が7人いたんです。
普段は工場で帽子をかぶってマスクをして働いている方たちでしたが、リッツ・カールトン
ホテルのスタッフの「笑顔」よりきれいでした。
全員袋に詰めてリッツ・カールトンへ持って帰りたいくらいでした(笑)。
「笑顔のトレーニングをされているのですか?」と質問すると、皆さんぽかーんとされて
いました。そう、トレーニングなんてしていないのです。
リッツ・カールトンではほぼ全社で笑顔のトレーニングをします。
「お客さまの前に出る時は顔のここの筋肉を緩める」と研修を受けたり、鏡に向かって
自分の「笑顔」をチェックしてから表に出ています。
だからリッツ・カールトンの「笑顔」はクオリティが一定しているのです。
でも、伊那食品工業で出会った笑顔は格が違いました。
帰ってリッツ・カールトンのスタッフにその話をしたら、何人かが休みの日に「伊那食品工業」
まで視察に行ったそうです。
みんな同じ感想を持って帰ってきました。
「まだまだリッツ・カールトンはやることがいっぱいありますね。」
「笑顔ですら負けているんですから・・・・・」と。
伊那食品工業は、今従業員数が約550人です。
「うちの成長速度はゆっくりでいい。儲けようとしてはいけない。儲けすぎてはいけない。
全社員に給料が払えて、全社員同じ年に海外旅行に連れていけて、そして全社員の
がん保険料を2000万円分は払えるだけの力が維持できる売上があればいい」
この会社には「年輪経営」という言葉がありますが、そんな考え方でやっている会社
なのです。
モットーは「いい会社を作りましょう」です。
さて、何をもって「いい会社」と評価するか。
そこに行って体感することももちろんですが、ある数字を見た時に
「この会社ってきっといい会社に違いない」と思えました。それは何か?
伊那食品工業で、毎年新しく採用できるのは大体12人から15人だそうです。
さて、この15人の採用枠に対して何人の応募があると思いますか?
200人? 500人? 1000人来たらすごいですよね。
しかし、まだまだ。
なんと一番多い時で8000人もの応募が来たそうです。
最近ようやく寒天ブームが落ち着いて少なくなってきたそうで、人事の方が「ホッとした」
と言っていました。
それでも毎年3000人くらいは来るのです。
これ、いい会社の証拠じゃないですか?
誰もがここで働きたいということですよね。
でも、ロケーションを考えてみてください。
会社は長野県の一番南の端っこ。
交通の便は悪いです。
そういうところになぜみんな行きたがるのでしょうか。
それは、その会社のスタッフが「考える集団」だからです。
上に言われて動くだけの集団ではなく、「この会社で働く」ということを通して、
自分たちの在り方をきちんと考えようとしている集団だからなのです。
最近よく言われることですが、「言われたことだけをやる『子ども、若者』」がふえたと・・・・。
しかし、「上に言われなくても」動ける日本人?はどれどけいるのでしょうか?
「先生に言われなくても」動ける子どもたち?はどれだけいるのでしょうか?
自主性、自発性!とよく言われます。
昨日の「研究発表会」も、「自主的で・・・・・・自発的で・・・・・・」と言う文言が多く
飛び交っていました。
永遠に「日本人?」の課題なのかもしれませんね!?
自分自身の「あり方」「生き方」など、人生を「きちんと!」「丁寧に!」「真剣に!」
考えていると自ずと「明るく」「元気」な「笑顔」で生活するものなのですね!!
嫌なことがあっても、仕事の場では!!!
親愛なる日中健児のみなさん!!
「笑顔」のあいさつは奥が深いですよ!!