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2019/12/09

12月9日(月)ガンを克服する未来へ

Tweet ThisSend to Facebook | by 日進中学校管理者
がんを克服する未来へ ~「免疫チェックポイント療法」の可能性~
科学コミュニケーター 正道氏の講演会より
 私は、皆さんが「話題にはなっているけれど、私にはちょっと難しいな」と思うような科学の情報を分かりやすく紹介する「科学コミュニケーター」として日本各地で活動しています。
  今回は、テキサス大学教授ジェームズ・アリソン博士と共同で昨年医学・生理学部門でノーベル賞を受賞された京都大学特別教授・本庶佑(ほんじょ・たすく)先生の研究についてご紹介します。
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 本庶先生は新しいがん治療法の発見に貢献したことでノーベル賞を受賞されました。
  現在、一般的に効果があるとされているがんの治療法は、
①手術によって取り除く方法
②放射線によって治療する方法
③化学療法(抗がん剤治療など)
の三つです。
本庶先生は、そこに「免疫チェックポイント療法」という「第4の治療法」を新たに付け加えた
のです。この治療法を分かりやすく表現すると、「がん細胞を攻撃する免疫システムの
『ブレーキ』をがん細胞に踏ませないようにする」ということです。これは、人間がもともと
持っているがんに抵抗する力を上げることで、がんを小さくしようという治療法です。

  がんとは、もともとは体の中の正常だった細胞が何らかの理由で変異し、無秩序に増殖
するという病気です。一方、免疫チェックポイント療法で活躍する免疫というのは、体内を
パトロールして、細菌やウイルス、がん細胞などの異物を取り除くシステムのことです。
  この免疫の働きを利用しているものの一つが予防接種です。例えば細菌などのかけらを
注射で体内に入れて、免疫細胞たちにその形を覚えてもらいます。すると、また別の時に
同じ病原体に感染した際に免疫細胞がすぐに攻撃できるので、病気が重くならないのです。
この予防方法はエドワード・ジェンナーさんという方が18世紀に始め、広まりました。

  私たちの細胞というのは、免疫の過剰な働きを防止するため、「免疫細胞の活動を抑える
物質」を持っています。免疫システムの作用が強すぎて人体に悪影響を及ぼしかねない
場合には、この物質が、免疫細胞に備わっている「ブレーキ」を踏んで活動を抑制するわけ
です。
  がん細胞も、もともとは正常な細胞ですから、同じように免疫細胞の活動に「ブレーキ」を
かける物質を持っています。それで、免疫細胞が攻撃してこようとすると、がん細胞は、
この物質を使って免疫細胞の活動を抑えてしまうのです。その結果、がん細胞は増殖し
続けてしまうわけです。
  そこで本庶先生は、「がん細胞が踏もうとする免疫細胞の『ブレーキ』に『蓋』をしてしまおう」
と考えました。そして開発したのが、「オプジーボ」という薬です。これにより、患者さんが
本来持っていた免疫の力が復活し、またがんと闘えるようになるわけです。
  この「オプジーボ」が優れている点は、まずは「奏効率(そうこうりつ・治療の効果がみられる
患者さんの割合)が、従来の抗がん剤治療と比べて高い」という点です。例えば「メラノーマ」
という皮膚がんの一種では従来の抗がん剤治療の奏効率は7%~12%ですが、
「オプジーボ」は約23%という報告があります。約2倍ですね。さらに驚くのは、この
「オプジーボ」一つで何種類ものがんの治療に使えるという点です。
  現在は一部の皮膚がん、胃がん、肺がん、腎細胞がんなどで保険診療が認められて
います。「オプジーボ」にはさらにもう一つ特徴があって、薬を止めた後も効果が持続する
場合があるのです。中には、一年以上もがんの腫瘍が小さいままの方や、さらに縮小した
という方もいらっしゃいます。

  ただ、この免疫チェックポイント療法は2014年に開始されたばかりなので、副作用など
解決しなければならない問題も抱えています。奏効率も以前より高いとはいえ、効果の
出ない方もいらっしゃいます。「オプジーボ」のように免疫細胞の「ブレーキ」をかける仕組み
に働きかける薬のことを「免疫チェックポイント阻害薬」といいます。 この免疫チェックポイント
阻害薬は、今では「オプジーボ」以外にも開発され、治療に利用されるようになっています。
  例えば、本庶先生とノーベル賞を共同受賞された、アリソン博士が開発した「ヤーボイ」など
の薬が承認されています。現在はいくつかの免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせる
「併用療法」が試みられており、皮膚がんの一部では、奏効率が61%に上がったとのこと
です。これからさらに研究が進めばもっと多くの方がこの治療法の恩恵を受けられるように
なるのではないかと、私は期待しています。

  現在、日本で亡くなる方の原因の1位はがんです。ただ100年前は、感染症で亡くなる方
の割合のほうが圧倒的に多かったです。ところが1950年ごろから抗生物質が使われるように
なってからは、感染症で亡くなる方が激減しました。そして抗生物質を発見された方が当時
ノーベル賞を受賞したのです。これからさらに免疫チェックポイント療法の研究が進めば、
もしかするとがんも、私たちにとって「必ずしも命にかかわる病気ではない」という日が
やって来るかもしれません。そんな希望を私は持っています。

今回はノーベル賞を受賞された「本庶先生」の開発されたがんに効く薬の話でした。
今回も日本人「吉野先生」がリチウムイオン電池でノーベル賞を受賞されました。
世の中の役に立つ「発明・発見」は、想像もつかないところから生まれるのかもしれません。
さまざまなことを克服してきた人間にとって、「不可能を可能に!!」を合い言葉に
先を見て!!
ただ、その「発見・発明」に至るまでには「何千、何万の失敗」があるのです。
特に、「命」に関わることに関しては「最終的には、人間に?効くのか効かないのか?」
「命」という重要な課題の前に、実用化されるまでに10年はかかると言われています。
窮地に追い詰められた患者にとって、その「10年という歳月は・・・・・??」
「発明・発見する研究者」の失敗に「投資する勇気」と、
実用化に向けて「少しでも早い対応」を望みたいものです。
ノーベル賞を受賞しなくても、我々のまわりにある「小さな発明・発見」は
誰にでもできるのではないか?
そんな大人に育ってほしいものです!
そんな希望を我々教員は持っています。

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