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2019/02/19

2月20日(水)アイデアが生んだ緑内障と便秘症の薬

Tweet ThisSend to Facebook | by 日進中学校管理者
起業家(バイオテック系) 久能祐子さんの講演会より
 
 私はこれまで、三つのバイオテックカンパニー(創薬会社)を共同創業してまいりました。最初の二つは薬の販売にも至り、上場もし、今は大きな製薬会社に吸収されております。
  現在は、三つ目の「VLPセラピューティクス」というワクチンを開発する会社に力を入れております。
  マラリアやデング熱という感染症のワクチンですが、最終的にはがんなどのワクチンを開発して、新しい形の医療を目指しています。

革新的なアイデアに基づく
 私たちが最初の薬を創った時、15人ぐらいのメンバーでした。
  新しく起業するということは、人数も予算も少ないので、革新的なアイデアか、革新的なテクノロジーがなければなかなか難しいです。しかし、逆に言えば、それさえあれば、少ない人数でも創業し最後までいけるのです。
  私たちが考えたのは「世界初の薬」を創るということでした。「既存の薬より10%だけいい薬」ではなく、「今までにない薬」「10倍効く薬」を創ろうということで、マーケットリサーチをしてもあまり出てこないところを狙っていきました。
 共同創業者の上野隆司博士は非常に素晴らしい天才型の研究者でした。
  彼は「プロストンテクノロジー」を発見しました。「ダメージを受けた細胞だけが体の中で修復していく」という現象を見つけ、そのアイデアを元に、私たちは薬を創ろうと思ったのです。
  医薬品を創るのは、そう簡単なことではありません。「数万分の一の成功確率」「15年以上の開発期間」といわれ、開発にも膨大な費用がかかるといわれます。
  私たちはこのことを全く知りませんでした。でも、その「知らない」ということが功を奏しました。知っていたらやっていなかったかもしれません。
  そして私たちは、たった数年で、緑内障の治療薬を開発し、さらに販売まで持っていくことができたのです。
  ありがたいことにこの薬は、今25年間のロングセラー商品で、トータル1700億円以上も売れております。

ニーズがあるから届けたい
 二つ目は便秘症の治療薬で、これはアメリカで開発しました。
  96年ごろから、一つ目の緑内障の薬の特許収入が入り始めました。その当時、1年間で3~4億円でした。
  これを資金として全額投資し、次の薬を開発する決心をいたしました。そして、アメリカに移住し再出発をしました。
  便秘症や過敏性腸症候群(大腸の不調)の治療薬というのは、リサーチをすると、マーケットはわずか20億円ほどの規模だと分かりました。
  もともと、そんなに医療用医薬品が必要と思われてはいませんでしたが、非常に重い病気です。困っている人も多く、ニーズも非常に大きいのです。
  そこで私たちは、「たとえ20億円のマーケットしかなかったとしても、回収可能な開発費で薬を創り、患者さんに届けたい」と思い、取り組むことにしました。
  その結果、申請から10か月という異例の速さで薬が承認され、アメリカで発売することができました。開発費用も200億円に抑えることができました。この薬は今、全世界で7000億円くらい売れています。

インパクト大 がんのワクチン開発
  今、私が力を入れているワクチンを開発する会社は、経済的成功だけでなく社会的インパクトを世の中に与えることを目指しています。
  社会的インパクトというのは、たとえば、がんの治療薬や予防薬など、画期的なインパクトを社会に与えられるような開発をするということです。
  昨年、本庶佑先生がノーベル賞を受賞して有名になった「オプジーボ」というがん治療で使う薬があります。
  この薬を5年間、患者さんに投与すると、約9000万円もの費用がかかるといわれています。これでは、明らかに全ての人には届きません。ですので、この薬を何とか安く創りたいのです。
  理論的に言えば、これと同じ効果のある薬をワクチンで作ることができます。その費用は大体100分の1ほどになります。私たちは今、これを目指しているところです。
  起業したいとお考えの方に申し上げたいのは、三つです。
一つは「革新的なアイデア」と「革新的なテクノロジー」を持っているか。
二つ目は、人がやっていない分野に進出すること。
三つ目は、世界にインパクトを与えるということです。

  たとえば、今、マラリアの創薬はお金にならないといわれています。それは、マラリア(原虫)自体が多種多様なため、一つのワクチンを開発するだけでは、解決したといえないからです。
  でも、もしも全ての原虫に適応するマラリアワクチンができたら、400兆円の経済効果があるといわれています。これは絶大なインパクトですよね。
  こういうところを見逃してしまうのはもったいないです。
  ですから、マーケットがあるかどうかよりも、将来性です。
  「将来どういう市場が見込めそう」とか、「将来どういうふうに世の中が進んでいくのか」という5年後、10年後の未来を考えてチャレンジしていただくといいなと思います。

この話は起業家の方の話ですが、「学校経営」にも使えそうな考え方です。
子どもたちの数が減ってきている!
昔に比べて、社会が複雑になってきている!
近頃の子どもたち?大人も?精神的に・・・・・!
日本の将来が不安だ!
教員という職業に魅力がなくなってきている?!
教員のなり手が減ってきている!
学校現場は「ブラック」だ!?
など、「口で評論しているだけでは、一向によくなっていきません?」
今、われわれに突きつけられているのは、
文部科学省からの通知ではなく、学校現場の我々のアイデアで
「明るい未来のために、今までとは違った『子どもたちのためになる学校』を!」
創っていきたいものですね!

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