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2020/02/13

2月13日(木)松下幸之助3

Tweet ThisSend to Facebook | by 日進中学校管理者
富士山の8合目の景色は2合目の人には分からない
 松下幸之助が松下政経塾を創ったのは84歳の時でした。当時は5年制です。84歳の時に新塾生が入って来て、彼らが卒業する時、松下幸之助は89歳です。僕は瞬間的に思いました。
  「とても持たんな」と(笑)。
  如何に経営の神様といえど、学校を創るなんて84歳の老人がやる仕事ではない、と。
 でも、私自身が80代に近付いてきて、考えが変わりました。「やっぱり松下幸之助はたいしたもんだな」と思い始めたんです。
  人生って富士登山と一緒です。2合目は20代、3合目は30代と思ってください。2合目を歩いている登山者にどんなに8合目の景色を説明しても分からんのです。
  ところが、その人がだんだん8合目まで登ってきて初めて「あ、これか! あの人が言っていたのは」と分かるんです。
  今から40年前、84歳の松下幸之助は何を考えたか。21世紀の日本のこと、自分が死んだ後の、この日本のことを本気で考えていたんです。ここがすごいと思いました。
  私が80歳になった時、「これからの日本は大変なことになります。どういう対策をすればいいと思われますか」と聞かれたら、僕はきっとこう答えると思います。「ええわ、もうその時は俺は生きてないし」
  だから自分の死んだ後の日本のことを本気で考え、さらに私財を投げうって学校を創るというのはすごいことです。これを「志」というのです。
  人は、自分が努力した結果を自分の目で見届けられることには本気になります。でも、「志」というのは、たとえ自分の目で見届けられなくても本気になれるのです。
  今の経営者や政治家はどうでしょう?ほとんどの人が己の損得を超えられていません。本当の意味での「長老」が今いなくなりました。やっぱりどこかで己の損得を超える発想をしないと、若い人に対して説得力を持ちません。
  自分の年金の計算をして、「2000万円足りない」とか言いながら、片方で「最近の若い者は…」と言っても誰も言うことを聞きません。僕はそう思うんです。
  松下幸之助の84歳の決断を振り返ってみて、「志」というものを私は強く感じたのです。

  松下幸之助の存命中にこれだけは聞いておこうと思ったことがあります。それは「日本の政治のダメなところはどこですか?」です。答えは一言でした。「日本の政治には経営がない」
  松下幸之助が言う「経営」というのを皆さんぜひ覚えておいていただきたい。経営とは単なる企業経営という意味ではありません。人間の営みはすべて経営だと言うのです。
  経営には三つの要素があります。この三つが揃った時、「経営」というものが生まれると言うんです。
  まず第一に、「将来のあるべき姿を明確に示す」。将来はこんな会社にしたい。自分は将来こういう人間になりたい。これが経営の第一条件です。
  でも思い描いているだけだったら単なる夢物語です。第二は、「どうしたらそれが実現できるかという実現の段取りを考える」ということです。
  そして第三は、「その上に立って今日から実行に入る」ということです。
 
 松下幸之助は言いました。「日本の政治にはまず経営の第一条件がない」と。
  もし外国の人から「日本ってどんな国を目指しているんですか」と聞かれて誰が答えられるでしょうか。
  それは皆さんが悪いんじゃない。政治家が示さないからです。「こんな日本を創ろう!」「いいね、そんな日本になったら」という、そういう方向を示さない政治が続けば、日本はやがて行き詰まります。 
  会社も、目先の売り上げばかり追いかけて、「こんな会社を創ろう」というビジョンがないと必ず潰れます。
  教育もそうです。「こんな国を創ろう」という目標を示さなければ、子どもを教育しようがない。
  そして人生も一緒です。松下幸之助は新入社員に「君らはみんな自分の人生の経営者や。みんな社長や」と言っていました。皆さんはそういう意識で生きていますか?
 
 84歳になった松下幸之助は「国家百年の計」がない日本を憂えて、松下政経塾を創ったのです。
  今あの世から「ところで、政経塾は総理大臣を何人出したんや?」と言われると耳が痛いです。かつて1人総理大臣を出しました。今の内閣にも2人の大臣がいます。国会議員は35人います。
  しかし、これに満足している場合ではありません。私は今こそ松下幸之助の思いを酌(く)んで立ち上がらないと、あの世で合わせる顔がないと思っています。
  それで「国家百年の計の会」を立ち上げました。現在335人集まっています。年に二回全国大会を開いて、そのたびに前回参加した人が次の大会に誰か1人を連れてくる。そうすると8年目で約100万人になります。それを見届けたら死んでもいいなと思っています。
  皆さん、人口の1%が「私のことはいい、日本のこと、子孫のことを考えたい」という高い志を持って行動したら絶対日本は変わると私は確信しているんです。
  まさに今一番必要なのはそんな志で創る「国家百年の計」です。

教育界も「大変な時代に突入」していきます?
みなさん!「志」を持っていますか?
目先の生徒指導では、その問題に振り回されて終わります。
5年後、10年後の子どもたちの姿、学校の姿を見て指導しなければ!
と考えていました。
今、混迷している社会を見て「学校はどうあるべきか?」
目先の「落ち着いていますねえ?」「平和ですねえ?」に満足していませんか?
その「落ち着き」「平和」は本物ですか?
この社会を生き抜く「たくましさ」「柔軟さ」を身につけさせていますか?
それは、子どもたちの問題でしょう?
と子どもたちの「個性」「自主性」という言葉で「大人としての責任」から
逃れていませんか?
「志」!?を持ちたいものです!
ともに、頑張りましょう!!
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