次に甲子園の話です。
今年の甲子園、感動的でしたよね。
たった9人で戦った金足農業高校ナイン、そして1人で881球を投げ抜いた
同校の吉田輝星投手。
だけどこれ、感動話や美談で終わらせていいのでしょうか。
吉田投手のように1人で多くの球数を投げ抜いた投手はこれまでにもたくさんいました。
そしてそこから、実は多くの悲劇が生まれています。
私はそれらの選手を何人も取材してきました。
たとえば平成3年夏、準優勝した沖縄水産高校の大野倫投手です。
彼は甲子園で6試合で773球を投げました。
大会後の検査で疲労骨折が判明しました。
手術をすると、小さな骨片が幾つも出てきました。
大野投手は二度と投手として投げることができなくなり、進学した大学や
読売巨人軍では外野手としてプレーしました。
ヤクルトの小川淳司監督もそうです。
彼は昭和50年の習志野高校で全国制覇のピッチャーでした。
彼も投げすぎで肘が曲がり、その後入った中央大学やヤクルトではバッターとしてのみ
活躍しました。
ですから私は、吉田投手を見ながら心配でたまりませんでした。
でもほかの新聞やテレビが、それを大きく報じることはありませんでした。
では、吉田投手のような選手を守るためにはどうすればいいのでしょう。
「球数制限する」という意見があります。
しかしそれでは、多くの優秀な投手を抱える伝統校に有利になるばかりです。
だって超高校級の投手が何人も集まっているんですから。
吉田投手の股関節は、8月18日の準々決勝からすでに悲鳴を上げていました。
劇的なツーランスクイズで近江高校に逆転サヨナラ勝ちした、あの試合です。
でも次の日も何とか投球練習できたので先発をしています。
つまり吉田投手は、準々決勝で実際はもうダメになっていたにもかかわらず
その後も投げ続け、そしてあの決勝戦の5回にチームメイトを集めて、
「もうオレ、投げられない」と言ったのでした。
吉田投手が限界を越えて投げ続けていることは、チームのみんなもよく知っていました。
だから中学時代から一緒にやってきた菅原天空君が吉田投手にこう声をかけました。
「輝星、分かった。俺たちが逆転するからこの回だけは踏ん張れ」と。
彼のように一生懸命1人で投げ続けなければならない選手の肩や腰や肘を守って
あげるために、いったいどうすればいいのか。
簡単です、甲子園大会での休養日を増やせばいいのです。
3回戦の後に1日、準々決勝の後にも1日、そして準決勝の後にも1日休むんです。
現状から言えばあと2日休養日を増やせばいいだけです。
選手生命を絶つような過密スケジュールを組んでまで、性急に優勝チームを決めなければ
ならない理由は一体、どこにあるんでしょうか。
私も常々思っていました。
野球人生が、高校で終わるわけもなく・・・・・・・。
人生のまだまだ、始まったばかりの時に「選手生命が絶たれる?」のは??
プロ野球選手でも、同じようなことを思います。
選手生命が伸びた?といっても、ゴクゴク一部の「イチロー選手」のような特殊な選手
が頑張って「50歳?」です。
通常のプロ野球選手は、30歳~40歳で終わりです。
健康を壊したり、野球しかできない人間を育てたりでは・・・・・・・・・。
そのようにならないために「大人」は、どうして配慮?できないのでしょうか?
いつも、甲子園や全国大会を観ていて思います。
そこを何とかしなければ「世界に羽ばたく選手」の人生さえも壊してしまうかも?
しれませんよ!!
よろしくお願いいたします。