2018/07/17 | 7月17日(火)みやざき中央新聞 | | by 日進中学校管理者 |
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僕たちFDA(フューチャー・ドリーム・アチーブメント)が就労支援を行っている対象は、
さまざまな「働きづらさ」を持っている方々です。
具体的には、身体障がい、知的障がい、精神障がい、発達障がい、引きこもり、難病、
若年性認知症、ホームレス、犯罪歴のある方、DV被害者、破産者など、働きづらい理由
は多岐にわたり、およそ40種類にも及びます。
僕の会社は、16人の職員と、80人以上の利用者と、約10人のボランティアで経営が
成り立っています。
いわゆる健常者と呼ばれる人たちは、ほんのわずかです。
変な言い方ですが、健常者のほうが少数派なのです。
僕は、いろんな障がいを持ちながらも、いろんな会社で働く人たちを知っています。
20年間引きこもりだった人がITの会社に勤めたり、5種類の障がいを持った50代の男性が、
毎年「もっとボーナスをもらいたい」と言いながら元気に働いていたり。
6年以上引きこもっていた人が、僕とのメールのやりとりを3~4回して、会社までやってきて
くれたこともありました。
そして、車いすでトイレ介助が必要な女性が、IT企業で週5日実習をしています。
どんな障がいを持つ人でも、働き方を工夫すれば社会と繋がれます。
どんな人だって働けるのです。
だから僕はいつも講演でこう言うのです。
「大丈夫。どんな人も100%就労できます」
「大丈夫。仕事っていくらでもありますから。何ができるかは、親御さんではなく僕たちが
見つけます。今日は安心感だけ持ち帰ってください」
そのことを僕は証明したいと思って、今いろんな企業家の方と会い、いろんなビジネスの話
をしています。
FDAと提携しているパートナー企業の数々は、僕の理念と活動に興味を持ってくださった
経営者の「共感」から成り立っています。
その方々の仲間の経営者が、また賛同して就労困難者を積極的に雇ってくださるという
ネットワークもできていて、その数は現在、10都道府県に計50か所以上あります。
障がい者の雇用や多様な働き方実現のコンサルティングということです。
僕は生まれつき網膜色素変性症という病気で、今は光を感じられるくらいしか目が
見えません。
ある意味では、引きこもりや不登校の息子さん、娘さんより生きづらいかもしれません。
でも失明して10年近く経とうとしていますが、そんなに困ったことはありません。
たくさんの人に支えてもらい、たくさん恥をかけるようになったからです。
僕らのように働きづらさを抱えた就労困難な人のことを、よく世間の人は「努力家だね」
「真面目だね」「一生懸命だね」と言います。
でもそれは僕たちがこう思っているからなんです。
「社会が僕らを支えてくれるとしたら、僕らが努力家であることが条件なのかもしれない」と。
僕らは「何とかこの社会で生きていこう」という気持ちから、真面目に頑張っているということ
をお伝えしたいと思います。
僕には原点があります。
目の見えない1歳の子どもを持つお母さんが僕に会いに来てくれて、とても心配そうに
「うちの子、結婚できるかしら」と言われました。
僕は、その言葉の真意をこう捉えたんです。
「目の見えないうちの子にずっと寄り添ってくれる人や会社や組織はあるのかしら、
『私たち以外に』」と。
つまり、障がい児を持つお母さんたちの悩みはただ一つ。
それは、「問題を抱えたこの子を支えてくれる社会や人が、ちゃんとあるだろうか?」
ということです。
障がい者や就労困難者の就職先が無事に決まっても、僕の仕事はそれで一丁上がり
ではありません。
その後も親御さんの心配はエンドレスに続きます。
結婚、出産、老後…、その子が生きる限り続くのです。
「それをも一緒に寄り添い、家族の一員のように考えられる人でありたい」。
ここ最近は、特にそう思うようになりました。
そのためには、僕が経営するFDAという組織の理念を、可能なかぎり根付かせること。
未来の利用者、相談者の方々が、今日と同じように頼りにできるFDAにすること。
お母さんたちはいずれ亡くなってしまいます。
僕だってやがて死にます。
でも会社や理念や哲学、仕組みはずっと生き続けていくのです。
ですから僕はこれからもずっと、家族、支援者、行政、企業に、「働ける」ことを通じて
「大丈夫だよ」というメッセージを伝えていきます。
そのために、僕は今経営者をやっているのです。
僕の話を聞いて皆さんこう思ったでしょう。
「成澤さんともっと早く出会いたかった」と(笑)。
でもね、こうして今日出会えたことが未来へのチャンスだと思っていただきたいのです。
お役に立つことがあれば、ぜひ僕を呼んでください。
僕は、障がいや引きこもりで困っている子どもさんのお母さん、お父さんのご相談であれば、
どこへでもボランティアで行きます。
3人でも5人でも、何人の集会だろうと全く問いません。
僕がやっている仕事を一言で言えば、それは「誰かの相手になる」ということです。
それが僕の人生です。
僕の仕事です。
障がいを持つ子どもを前にして、「たった1人じゃ何もしてやれない」と胸を痛め、
悩み苦しんでいるお母さんたちが数多くいらっしゃいます。
その方たちに会いに行って、誰よりも先に「大丈夫」と言ってあげたい。
そして誰よりも最後まで「大丈夫」と言ってあげたいのです。
僕は、これからもそんな人生でありたいし、そんなお母さんたちとこれからも一緒に将来を
歩んでいけたらと思っています。
以前、特別支援学級の担任をした経験でも、
同じように言われた保護者がいました。
また、私の父親が教員人生のすべてを特別支援学校で過ごし、
その話その対応を見ていて、不安になっている保護者の話をよく聞きました。
誰よりも「大丈夫」と言ってあげられる存在が、どれだけ、よい存在か?
立場は違いますが、中学校の義務教育の校長として
「大丈夫!」と言ってあげられる存在になりたいと考えています。
どんな人でも「働くことができ」「結婚でき」「出産でき」・・・・・「幸せの追求できる」
そんな世の中、そんな人たちが多くいる社会にしたいものです。
そんなことを言っている我々も、
「ある人から見たら、不完全な何かの足りない(障害を持った?)人間」なのかな?
といつも思っています。
完全な人間なんていないのだから、「お互いさま」を大切にしたいものですね!
親愛なる日中健児のみなさん!
どう感じますか?どう考えますか?