前回のアクティブタイムズで、学びの土台である関係作り、つなぎ直しの手段のひとつとして、プロジェクトアドベンチャーもあるというお話をさせていただきました。
プロジェクトアドベンチャー(PA)は、1970年頃、アメリカの公立高校で始まりました。グループでの遊びや冒険活動を通じて、チームワーク、成功体験、達成感、わくわくどきどきのチャレンジ、葛藤などを体験し、自己肯定感や「友達を信頼すること」を学ぶプログラムです。「遊び」の例としては、「クラスのみんなで協力して、この目の前にある4mの壁を越えてみよう!」のようなアドベンチャーなどがあります。子どもたちが思わず「チャレンジしてみたい!」と思えるような設定や友達と協力しないと達成できないように工夫されていて、ついつい夢中になってしまうという特徴を持ったものです。
一緒に体を動かす遊びの魅力は、「思わず動いちゃった感」ついタッチしちゃった、つい助けちゃった、うっかり協力しちゃった、うっかり一緒に笑っちゃったなど…。体を通した「うっかり共有体験」で関係が近くなる。そこをねらいとしています。
では、学級レク定番のフルーツバスケットやドッジボールとどう違うのか?決定的な違いは、勝ち負けがないということです。みんなでやったから上手くいったという経験をさせることがコンセプトなので、無駄に場が荒れたり、参加度が下がる生徒がいたり、対立を生むような状況をつくることなく、遊びを展開することができます。
ただ、楽しいお遊びで終わってしまっては、意味がありません。PAをしたあと、振り返り、そこで生まれたよかったことや解決すべき課題を一般化し、日常生活にどう生かすかを話し合う。そのサイクルが大事になってきます。給食や掃除などの活動もPAの要素を取り入れたものにしていくと、子どもたちが主体的に動くことにつながるかもしれません。
具体的な方法を知りたい方は、『子どもたちが主役!プロジェクトアドベンチャーでつくるとっても楽しいクラス』(岩瀬直樹・甲斐﨑博史・伊垣尚人著 プロジェクトアドベンチャージャパン監修 学事出版)がクラスの1年の流れを3段階で表し、実態に合わせたPAの取入れかたを提案していてわかりやすいので、是非読んでみてください。
クラスのダイナミズムが足りないと感じていたり、信頼関係の醸成で苦労したり悩んでいたりしている先生は対話と平行して、PAを取り入れてみるのもひとつかもしれないですね。