「読み聞かせ」の子育て について 「みやざき中央新聞より」
「うんこおっぱい」というセリフがある絵本を読み、3歳になった私の娘がそのような言葉を
連発するようになりました。
娘は絵本が大好きで、2歳前にはおしゃべりも上手になり、最近では絵本に出てくる文字
に興味を持ち始めました。
絵本の影響力はすごいと思う反面、下品な言葉が出てくる絵本を読むことに疑問を抱いて
いました。
そんな時、宮崎市で読み聞かせ講座があると知り、参加しました。
「何のための読み聞かせ?」というお話の中で、宮崎子どもと本をつなぐネットワークの
浅部和子さんは「読み聞かせが未来を担う人づくりになる」とおっしゃっていました。
浅部さんは「子どもの心は地域で育てる」という思いで、小中学生に読み聞かせを行っています。
読み聞かせの原点は「語り」。つまり、囲炉裏を囲んで、大人が子どもに「むかしむかし・・・」
と物語る、とてもアナログな行為だったそうです。
浅部さんがある小学校に読み聞かせに行った時、ひとりのお母さんがタブレットPC端末
に絵本のデータを入れて子どもたちに読んであげていました。
「これでは演劇をテレビで観ているようなもの。実際の絵本を持って、絵本の大きさ、
ページをめくる音から臨場感を味わえる、そんなアナログの世界で語ってあげてほしいです
ね」と浅部さんは言います。
講座中、こんな話が出ました。「子どもが長い絵本を持ってくるが、途中までしか聞いて
いない。そして次の日も『最初から読んで』と言ってくる」。
私もこの話に共感しました。私の娘も大人向けの難しい絵本にハマっていた時期があり、
読み終える前に次の絵本を持ってきたり、内容を理解できているか分からなくて、読んで
あげることにためらいを感じていたからです。
浅部さんによると、家庭での読み聞かせはスキンシップが目的で、子どもたちが「自分の
ために時間を割いてくれた」という愛情を感じることが大切なのだそうです。
冒頭の私の疑問も述べたところ、「お母さんが楽しそうに読んであげることが一番」と
言われました。そして薦められたのが『うんちっち』(あすなろ書房)という絵本でした。
「うさぎのこ」が言える言葉はたった一言、「うんちっち」。ある日、オオカミが聞きます、
「ぼうやをたべてもいいかい?」。うさぎのこは答えました、「うん ちっち」。そして、オオカミは
ぺろり・・・・。
まさかのストーリー展開とうさぎの愛らしさに何度も読みたくなる絵本でした。もちろん娘にも大ウケ! またひとつお気に入りの一冊が増えました。
家庭での読み聞かせはスキンシップが目的で、子どもたちが「自分のために時間を割いて
くれた」という愛情を感じることが大切なのだそうです。
これは、学校現場、教育にも言えると考えています。
理屈っぽくなると、どうしても杓子定規に「決められたとおり」行いますが、
子どもたちが大人になったとき「その中身」を覚えていることはほとんどありません。
覚えているのは「自分のために時間を割いてくれたのかどうか?」
「自分のために愛情をかけてくれたのかどうか?」だと思います。
その愛情さえ「満たされていれば」子どもたちは自ずと「自分自身の足で自分自身の人生」
を歩んでいくのではないでしょうか!?
子どもたちに時間を割きさえすれば・・・・??
子どもたちにとって「自由を奪い」「過保護に」なるのかもしれません。
難しいですがポイントは、
子どもたちが自分に時間を割いてほしいときに、割いてほしい時間を!!
それが分かるためには、「日頃から、子どもたちとの心のキャッチボール」で
子どもの「心の器の大きさ」を知らなければ・・・・・・・・・。