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2019/06/17

6月17日(月)みやざき中央新聞

Tweet ThisSend to Facebook | by 日進中学校管理者
「過去を恨まず未来を憂えず今を生きる 」
中部特派員 山本孝弘のコラム
 元裁判官の熊本典道さん(80)は現在、福岡県の病院で寝たきりの状態にある。
 昨年、静岡県から二人の姉弟が見舞いにきた。袴田秀子さんと袴田巖さんである。二人を見て、熊本さんは声にもならない声で巖さんの名前を呼び、嗚咽した。
 秀子さんの弟・巖さんは、今年83歳。昭和41年6月に起きた殺人放火事件の容疑者として逮捕された。30歳の時だった。
  その後、最高裁で死刑が確定した。しかし、歴代の法務大臣は誰も刑の執行書に署名できなかった。「冤罪」という言葉が常にちらついていたからだ。
  事件から約半世紀の月日が流れた平成26年、静岡地裁が再審開始を決定した。そこには村山浩昭裁判長の英断があった。「これ以上拘置を続けることは著しく正義に反する」
  巖さんは突然釈放された。78歳になっていた。だが、処遇は「確定死刑囚」のままだ。
 平成19年、「袴田事件」がマスコミに大きく取り上げられたことがある。冒頭の熊本さんが守秘義務を破り、判決の内幕をテレビカメラに向かって涙ながらに告白したのである。熊本さんは「袴田事件」の裁判官の一人だった。
  「袴田さんは無罪です。でも二人の裁判官を説得できませんでした」
  熊本さんは無罪判決を疑わず、その判決文の下書きまでしていたが、それを破り捨て、裁判長の命令で泣きながら死刑判決文を書いたという。
  巖さんはプロボクサーだった。ボクシングはKOで試合が決まらない場合、判定に持ち込まれる。微妙な内容の試合では三人の審判員の判定が2対1で割れることもある。その場合の勝利を「スプリットデシジョン」と呼ぶ。審判員の判定ミスで敗者が勝者に、勝者が敗者になる可能性は十分にある。
  袴田裁判は、スプリットデシジョンだった。多数決で死刑が決まったのだ。
  袴田事件を語るのに、姉の秀子さんの存在は欠かせない。
  実は、毎月浜松市で開催されている「袴田事件がわかる会」に昨年から参加している。秀子さんとはそこで出会った。強さと優しさを兼ね備えた魅力的な女性だ。
  巖さんが逮捕された時、秀子さんは33歳。離婚したばかりだったそうだ。以来ずっと弟の無実を訴え、闘ってきた。
  秀子さんの発言は一貫している。過去に対する遺恨や未来に対する悲観がない。常に「今」を生きる。だから「私の人生をああだこうだ言ったって始まらん。そういう運命だったと思ってる。私が百歳まで生きれば巖の無実は証明されるでしょう」、そう言って笑う。
  昨年6月、東京高裁は巖さんの再審開始決定を取り消した。その時も秀子さんは怒りの感情より釈放状態の取り消しまでされなかったことに安堵した。
  再審開始決定の判断は、現在最高裁に委ねられている。仮に最高裁が再審開始を認めなかった場合、巖さんの身柄はどうなってしまうのか。
  これに関して、先日放映された東海テレビのドキュメンタリー番組で秀子さんはこう語っていた。 
  「今巖はここにいる。だから今を大事にしたいです。最高裁で不当な判断が出た時は出た時です。その時はその時でまた考えればいいことです。今を明るく生きていればそれでいいと思っています」
  支援者の一人がかつて「熊本さんがもっと早く告白してくれれば事態は違った展開を迎えていたかも知れないですね」と漏らしたことがある。でも、秀子さんは言う。
  「そうは思わないさ。熊本さんも黙っていたほうが楽なのに、敢えて声を上げてくれた。有難いと思っている」
  見舞いに行った熊本さんの病室を後にする時、秀子さんは熊本さんの顔に触れて笑顔でこう言った。
  「元気ださにゃあね(元気ださないとね)」
  秀子さんと巖さんは6人兄弟の末の二人。小さい頃はいつも一緒だったという。80代になった二人は、再び寄り添って「今」を幸せに生きている。

「過去を恨まず未来を憂えず今を生きる 」
どうしても「過去」のよくない思い出は・・・・・・・・。
また、まだ分からない「未来」を自分勝手に悪い想像をして憂いてしまう・・・・・・。
そんな弱き人間です。
しかし、人間ができることは「今、この時」だけです。
過去は誰が何を思おうがしようが「戻ってこない!」
未来は誰が何を思おうがしようが「心配しても始まらない!」
分かってはいるが・・・・・・難しいことの一つですね。
「今を生きる」!!
日進西中学校の「校訓」です。
私も大好きな言葉です。
意識をして、「今を生きてみませんか?」
ともに頑張りましょう!!

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