前回の予告で、アサーティブな自己表現について詳しくお話しますとお伝えしましたが、もう少しだけ、前提となる自己主張についてお話したいと思います。
私たちの自己主張の仕方には、「攻撃的表現」「非主張的表現」「アサーティブな表現」の3つのパターンがあるということでしたが、これは、常に固定されたものではないということです。心の状態によって自己主張が違ってくるということも理解する必要があります。
対人関係における心の状態は「自己肯定・自己否定」「他者肯定・他者否定」の軸で考えると、4つに分類できます。「私もあなたもイイ(自己肯定・他者肯定)」「私はイイけど
あなたはダメ(自己肯定・他者否定)」「あなたはイイけど私はダメ(他者肯定・自己否定)」
「私もあなたもダメ(自己否定・他者否定)」の4つです。
心の状態が、この4つのどの状態かによって、その時の自己主張は違ってきます。
「私はイイけどあなたはダメ(自己肯定・他者否定)」だと攻撃的な表現になりやすく
なります。
「あなたはイイけど私はダメ(他者肯定・自己否定)」
「私もあなたもダメ(自己否定・他者否定)」の状態だと、非主張的表現になりやすいです。
アサーション授業で後押ししたいアサーティブな表現は、「私もあなたもイイ(自己肯定・
他者肯定)」の状態で生まれます。
では、あなたは「引きすぎ(非主張的表現)タイプ」や「押しすぎ(攻撃的表現)タイプ」
のように、人を自己主張のタイプ別に分けることができでしょうか。このように、
自己主張のパターンを個人に特有なものとして理解してしまうと、「あの人は攻撃的な
言い方をするから話したくない」とか、「自分は曖昧にしか言えないからダメだ」のように
自分や他人を狭い世界に押し込めてしまうことになります。
人に対するこのようなラベリングは、対人関係を硬直させるだけでなく自己主張について
の理解から逸れてしまいます。
むしろ、心の状態によって、誰もが攻撃的にも非主張的にもなることはあるのではない
でしょうか。それを子どもに理解してもらうことで、自分や他人にネガティブなラベリング
をしたり、人間関係が硬直するのを防ぐことができます。
では、そもそも、本来いろんな面があるはずの自分や他人のことを「この人は○○だ」とレッテルを貼ってしまうのはなぜでしょう。そのカラクリについては次回詳しくお伝えしたいと思います。お楽しみに。