今回は東京の工務店を紹介します。
この会社は「東京一きれいな会社を目指そう」ということで掃除の取り組みを進めることに
なりました。
その指標として「素足で歩ける現場にしよう」と決めました。
建築に関連するお仕事をされている方、あるいはご自宅を建てられた方は分かると
思いますが、建築現場を素足で歩けるでしょうか?
きれい、汚いを通り越して、まず危ないという印象を受けると思います。
でもこの会社は床を徹底的にきれいにし、配線や材料も上のほうに上げ、
引っかかったりつまずいたりすることがないようにしています。
結果、現場がきれいなので近所中の評判になりました。
「いつでも誰でも見に来てください」と公開していることもあり、多くの人が現場に来ますが、
皆さんびっくりされます。
もちろん、見に来る方の中には「近いうちに家を建てようかなぁ」と考えている人たちが
少なからずいると思います。
その人たちがこの現場を見ると「この会社じゃなきゃ嫌」とまで思ってしまうのです。
そうして、この会社は口コミでどんどん伸びていっています。
売り上げもどんどん上がっています。
この会社そのものは元請け会社ですから、実際に作業をするのは契約している職人さん
です。
職人さんに「1日5回清掃してくださいね」とお願いはしますが、やっぱりまず自分たちが
実践しなければということで、折にふれて現場に入り、清掃活動をしています。
毎回、清掃の「計画書」まで作り、いつ・誰が・どこをやるのかが細かく分担されています。
それから、早朝に近隣のごみ拾いや清掃もしています。
これは希望者のみで強制はしません。
約1時間の清掃をする間、ご近所のおばちゃんが「いつも悪いねぇ」と声をかけてくれます。
そのおかげか、近所の方からもよく注文があるそうです。
掃除を通してこの会社は確実によくなっています。
実はここの社長が大きな事故に遭われ、1年半にわたって不在の時期がありました。
30人弱の会社ですから、社長が1年半も不在だと厳しい状況に追い込まれるでしょう。
ある社員さんも取引先から「残念だけどおたくの会社、つぶれると思うよ」と
言われたそうです。
でも、残された社員さんたちは「俺たちがやるしかない」と一生懸命頑張り、結果として
社長さんが不在の間に過去最高の売り上げと過去最高益を上げたそうです。
社長も今は元気になり、復帰されています。
どうしてこういう結果になったのか?
この会社の方がおっしゃるには「やっぱり掃除でした」と。
小さな会社では、いつ・誰が・何を・どうするといったような計画を立てて実践することが
難しいこともあります。
でも掃除を通じて、彼らはそれを訓練してきたのです。
そして近所を掃除する取り組みを通して、社員さんの自発性や自主性が養われたのだと
思いました。
掃除が会社の危機を乗り越える力をくれたというエピソードです。
「たかが掃除、されど掃除」
そうじだけではなく、何かに真剣に取り組むと「それだけではなく、あらゆることに効果」
が表れるものです。
日進中学校は「あいさつ日本一」を目指しています。
まだまだ、この会社の足下にも及びません。
毎回、清掃の「計画書まで作り、いつ・誰が・どこをやるのか」が細かく分担されている
会社まで至っていない?のですね。
毎回、あいさつの「計画書まで作り、いつ・誰が・どこをやるのか」が細かく分担され
はじめると、近づいていくのかも?しれません。
組織の「意識改革」。
簡単なようで、一番難しいことの一つですね。
諦めない!!