教育相談アンケートで、アクティブラーニングについて書いている生徒がいるという話
を聞きました。その子どもの記述には、「どの授業もアクティブラーニングになって友達
と話す機会は増えたのだけれど、自分たちの班は話し合いがうまく行かず、他の班の
話し合いがうまくいっていると、うらやましいと同時に悲しくなる」と書いてあったそうです。
先生方が各々研究されて、日々アクティブ授業に挑戦されているのだと感じ、嬉しく思い
ます。それと同時に、その話し合いはアクティブなのか?と立ち止まって考える必要が
あるのかなとも思います。話し合えばアクティブになるのではなく、話し合わせ方が重要
です。
では、どうすればアクティブになるのでしょう?いろいろなアプローチの方法はあると
思いますが、教室の中での子たちの学びの深まりや関係性がよくなることが最終目的
になるような話し合わせ方になるといいのかなと思います。
例えば、「他の班にヒントを聞きに行ってもいいよ」と声掛けしてみたり、「A班は○○に
気付いたんだ~すごいね~」「B君のその考えは新しいね」と大きな声で呟いてみたり、
子供同士が自ら繋がろうとするそぶりが無ければ繋がるように仕向けていくことで、
子どもたちが変わってくると思います。
また、話し合いの仕方を子どもたちと共通理解せずに、話し合わせてしまっている
ケースもあるのではないかと思います。例えば、話し合いのルールを1時間で話し合わ
せるというのはどうでしょう?NIED
国際理解教育センターが発行している、
参加型アクティビティ集コミュニケーション編の中に、「話し合いのルール作り」という
ものがあります。
[準備物] A4用紙・ペンセット×グループ数、模造紙1枚
ねらい:話し合いのルールを自分たちで考え、決定する。
進め方:1.「お互いが気持ちよく話し合いをするためのルール」を、グループでできるだけたくさん
A4用紙に書き出す。…10分
2.グループで出た意見を各グループ2つずつ発表し、F(ファシリテーター)は板書する。…15分
→同じ意見は発表しない
→意見はすべて板書する。
3.出てきた意見を全員が納得できるものに修正する。…20分
F(ファシリテーター)「違和感を感じる意見はありますか。
また、「~しない」という意見はでき
るだけ「~する」という意見に直しましょう。」
→内容が同じものがあるか、「これはなくてもいい」「おかしい」「違うな」と思うものはあるか、話し合う。
→できるだけ「~する」という意見に直すのは、「~しない」という禁止事項を決める(=マイ
ナスをなくす)のではなく「~する」というより、よりよくなるために約束事(=プラスを作り
出す)を決めることが目的であるため。ただし、わかりにくくならないようにする。
例)途中で口を挟まない→最後まで聞こう
4.まとまった「話し合いのルール」を模造紙に書き、掲示する。…5分
ただ、何もない中で勝手に話し合わせても大したルールにならないのではと不安になる先生方もいらっしゃると思いますが、先生方が必要だと思うことを日々価値語として伝えた上でこの話し合いを行うと、それも踏まえて子どもたちが自分たちで考え、合意形成した状態でその後の話し合い活動ができるようになると思います。この本の中には、関わらせ方のヒントとなるアクティビティがたくさん載っています。是非参考にしてみてください。