2018/05/14 | 5月14日(月)みやざき中央新聞 |  | by 日進中学校管理者 |
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タレントの武田鉄矢さんがラジオでこんな話をしていた。
昭和を振り返る歌謡番組などで50代60代の歌手が集まると、
「こいつ老けたなぁ」と思う人がいる。
中には歌っている姿に痛々しさを感じる人もいたりする。
そうかと思えば「こいつ全然変わらないなぁ」と思える人もいる。
「60代になるとその差が出ますね」と。
役者であれば、「老い」や「老け」は演技に「味」を添えるが、
歌手の場合、立ち姿や表情に聴衆の視線が注がれるので「老い」や「老け」は
どうしてもマイナスイメージに傾いてしまうのだそうだ。
そしてしみじみこう語っていた。
「年齢をわが身に引き寄せていくことの、人それぞれの違いというか、
老いの背負い方の違いを見ると、上手に歳をとっていくことの難しさを感じますなぁ」
途中で死なない限り人は老いていく。
ならば下手に歳をとっていくより上手に歳をとっていくほうがいいに決まっている。
ただ「上手に歳をとることが難しい」というのは、「上手」と「下手」の違いが分からないから
かもしれない。
それが分かれば、「上手に」を目指して歳をとっていくことができるのではないか。
「下手に歳をとる」ということに最もふさわしい言葉はやはり「みっともなく」だろう。
確かに体力は減退し、外見は老けるけれども、それがみっともないのではない。
歳とともに自己主張ばかりして人の話を聞かなくなるとか、注意されるとすぐ不機嫌になる
とか、関心事が世の中のことより自分のことにばかり向かっていたりする様が
みっともないのだ。
文筆家の執行草舟さんが『耆に学ぶ』(HS)の中でこんなことを語っている。
「昔の日本人が恥ずかしくてやらなかったことを今は堂々とやる。
特に目に余るのが老人です。
自分の健康と長寿のことばかり気にかけている人が多すぎる」
「いい歳をして自己の幸福ばかり追求するなんて嘆かわしい。
若者の未来の幸福を願うのが本来の老人です」
「なぜ日本人が恥を知らなくなったのか、それは戦後の文明のあり方に原因がある」と。
その本のタイトルにある「耆(ろう)」とは、「知恵があり、徳の高い老人」という意味だ。
「耆宿(きしゅく)」といえば経験豊かで学識のある老人のこと。
「耆旧(ききゅう)」は皆から慕われている老人。
「耆老(きろう)」は周囲の人から尊敬されている老人を意味する。
『耆に学ぶ』では5人の識者が「老い」について語っている。
たとえば、本のソムリエで知られる清水克衛(しみず・かつよし)さん。
「戦前は日本の文化が徳の高いお年寄りを育てていた」というようなことを言っている。
年配者は皆神仏に手を合わせていた。
その頃は神話が身近にあり、自分のことより世の中のことに労苦を惜しまない
「公的精神」があった。
いつも近所には悪ガキを叱る人がいた。
そして国を想う心があった。
「これらが戦後教育でメチャクチャになりました」と。
こんなわけで上手に歳をとっていくことが難しい世の中になった。
そこで清水さんがおすすめしているのが「感性を磨く」ということだ。
たとえば、「『桜』というテーマで何か語ってください」と言われると、感性の貧しい人は、
ネット検索して「桜」に関する知識を集め説明を始めるが、
感性豊かな人は「桜」にまつわる思い出を語り出す。
歳をとればとるほど、思い出はその時々の出会いや風景と相俟(あいま)って濃厚になる。
体のいろんなところが減退していく中で、感性だけは歳を重ねた分だけ磨かれていくのだ。
上手に年をとりたいと思ったら、それを磨かないでいいはずがない。
そのための最も身近な方法は「感性の読書」だと清水さんは言う。
だから「本の読み方を変えましょう」と呼びかける。
知識を得るためではなく、著者の思いや経験に寄り添い、その本質を掴んで
肝に落とし込む。
それが「感性の読書」だ。
上手に歳をとるということは、上手に歳をとろうと一歩踏み出した人にしか
手に入れられないものかもしれない。
私も、60歳に近づいてきました。
ああだこうだと言っても、「仕事」での現役は「退職」したら、・・・・・・・・・。
しかし、人生は死ぬまで「現役」ですよね!
大学や高校を卒業したら「勉強しなくてもいい?」と思っていた22歳。
もう、退職したら「勉強しなくてもいい?」なんて思いません。
60歳過ぎてからが、本当の「第2の人生」が始まるのかもしれません。
世の中のために、社会のために、将来の子どもたちのために!!
今まで育てていただいた「恩返し」を、第2の人生で!!
ひょっとしたら、そのために第1の人生があったのかもしれません。
最後は、育てていただいた与えていただいた「すべてのもの」を返していきたい!
ですね。
親愛なる日中健児のみなさんは、まずは、第1の人生のスタートラインに!!
そして、中間層で奪取できるように「社会に飛び出す準備」を
しっかりとしていきましょう!!
がんばれ!!日中健児!!