みやざき中央新聞 中部特派員 山本孝弘より
先日インドの街並みを紹介する番組を観た。画面から喧噪(けんそう)の臭いが漂ってきた。インドには20代の頃、三度訪れたが、価値観が根底から覆される国だった。
中学の時に社会の授業で、「カースト制度は1950年に法的に撤廃されたが今も根強く残っている」と習ったが、21世紀の今もその状況は変わらない。
「低カースト」と思しき人を街なかでよく見かけた。浮浪児も多かったが、そんな彼らの中には目を輝かせて幸せそうな顔をした子も多くいた。最初はそれが不思議だったが、それはこっちが勝手に「不幸な子」という色眼鏡で見ているからで、それを取れば「幸せそうな子」がいても不思議ではない。
インドでは野良牛がたくさん街なかを歩いている。その糞の中から子どもが未消化の豆を探していることがあった。糞はあちこちにある。最初は踏まないように気を付けていたが、途中からどうでもよくなった。気にしていたら歩けない。それに牛は草食動物なので糞は臭くない。ケニアのマサイ族は牛の糞で家を作る。そう考えると、糞の中から未消化の豆を見つける行為は、それほど悲惨なことではないのかもしれない。
ヒンズー教徒にとって聖なる河、ガンジス川にも行った。かなり濁っていた。街中の下水が流れ込んでくるそうだ。全ヒンズー教徒が行うわけではないと思うが、彼らはこの川で産湯に浸かり、死ぬと川辺で燃やされ灰は川に流される。
だが事故死の場合は燃やされずにそのまま流される。ボートで川を漂っているとそんな遺体に何度も出会う。カラスがやってきてその遺体を啄(ついば)んでいる場面を見ることもある。
この話を日本でするとみんな引いてしまうが、実際は決しておどろおどろしいものではない。
一緒にいたカナダ人が、「地球にインドがあってよかった」と言った。その意味がよく分かった。そこに「自然のサイクル」を体感するし、感動すら覚えるのだ。
ガンジス川の近くの食堂で魚のフライを食べた。「この魚はガンジス川で獲れたものか」と店員に聞いてみた。人の遺体を食べた魚を食することで自分も自然と一体になれる気がしたからだ。
「とんでもない。あそこで獲った魚を食べたらお腹を壊すよ」と言う店員の答えを聞いてがっかりした。しかし、後で考えるとわざわざ遠くで獲れた魚を仕入れるとは思えず、あれは外国人客用に用意された答えのように感じた。
インドを象徴する建物、タージ・マハルにも行った。そこで出会った日本人男性と歩いていると、親切そうなインド人がやってきて丁寧に説明を始めた。
「うるさい! どこか行け! 俺たちはお前にガイドなんか頼んでない」と、彼がいきなり英語で罵(ののし)るので驚いた。
「黙ってたら後で法外なガイド料を請求されるよ」と彼は言った。
アグラ城に一人で行った時、インド人が私に話しかけてきて、いろいろと城のことを教えてくれた。試しにそのまま一緒に最後まで歩いてみた。お礼を言って去ろうとしたら、彼は腕を掴んでポケットから怪しげな身分証をチラッと見せ、「俺はここの公式ガイドだ」とうそぶき、法外なガイド料を請求してきた。
「ほら来たぞ」と思った。とりあえず「そんなもの払うか!」と怒鳴ったが、曲がりなりにもガイドをしてもらったので請求された金額の5分の1を払った。
すると「足りない。貴様は泥棒か。仲間を呼ぶぞ」と凄まれた。彼を睨んで黙って去った。途中で振り返ると彼はこちらに向かって笑顔で手を振っていた。満足した顔だった。5分の1でも高額だったことが分かった。負けを認めた私は彼に手を振り返した。
日本の「常識」の外を旅すると、騙されるし、とても疲れる。しかし面白い。何かが広がっていく気分になる。
「常識」とはある意味、ただの「思い込み」だろう。それにとらわれずに人や物事を見ると違う風景が見えてくる。
私も「インド」に旅行に行ったことがあります。
時刻表は、あってないようなもの。1時間や2時間遅れたくらいで「怒っていては?」
喫茶店ふうの店では、先客が残した「水」を目の前であつめて「飲み水」として出されました。
牛の糞の話も体験しました。
手のない人、足のない人が「滑車の付いた板」に乗って、起用に移動していました。
その人も、生きるために観光客に寄ってきて「お金」を要求してきました。
神の川「ガンジス川」では、「泳ぎ」ました。
ガイドは止めましたが、体にロープをつけて泳ぎました。
さすがに、目は開けられませんでしたが(開けても、視界は~かな)・・・・・。
町自体の?空港に着いたら「インドの独特の匂い」がしました。
臭いに敏感な人は難しいかも???
トイレも、「ウォシュレット?」なんているはずもなく、
トイレットペーパーもあるはずもなく・・・・・。
手でお尻を拭いて、その手を洗う専用の「蛇口」もありますが・・・・・・・。
また、個室になっていないトイレ?周りを囲われていないトイレでも用を足しました。
用を足したあと「流す水」もなく・・・・・。
世界のあらゆる混沌が凝縮されたような国!!インド。
しかし、インド人は「いつか、日本は超えます!!」と言っていました。
大国になりつつあるインド。
人口減少に歯止めのかからない日本。
幸せそうに、教科書もノートもない寺子屋風の学校に通っていた子どもたち。
いくら最新でも、つまらなそうに学校に通う日本の子どもたち。
インドでは、交通事故で死んでも「記事」になりません。
それぐらい、人口が多く日常的なことだそうです。
身元さえも分からない人もたくさんいます。
日本の「常識」って、「何?」と考えた旅でもありました。
ぜひ、一度は!!