「みやざき中央新聞より」
中学生の頃から映画が好きだった。
昔、テレビで映画を観る時は、淀川長治さんや荻昌弘(おぎ・まさひろ)さんといった映画評論家の解説も楽しみのひとつだった。いつしか感動を伝える映画評論家という職業に憧れを抱くようにもなった。
『風と共に去りぬ』は、アメリカの南北戦争を背景に描かれた4時間近い長編映画である。美人だが、わがままな主人公・スカーレットが、降りかかるいくつもの不幸や不条理に、不屈の精神でぶつかっていく。全てを失って絶望的な状況の中でつぶやくラストシーンの台詞(せりふ)は多くの人たちに勇気を与えたことだろう。それは「明日は明日の風が吹く」。実際には英語で“Tomorrow is another day”と言っているのだから「明日は別の日」と和訳されるところだが、翻訳者のセンスが素晴らしかった。タイトルの「風」という言葉に掛けたのである。
いずれにしてもこの台詞には「今どんなに辛くても明日はきっといい日になる」というメッセージがある。
『雨に唄えば』というミュージカル映画は、雨の中で主演のジーン・ケリーがびしょ濡れになりながら、陽気に「雨よ降れ!/笑顔で受けよう/幸せを噛みしめて生きよう…」と唄って踊るシーンがあまりにも有名だ。
この映画の原題で、歌のタイトルにもなっている“Singin' in the Rain”は、「今は土砂降りのような悲しい人生でも、笑顔で唄っているときっと幸せがやってくる」というメッセージなのだろう。
この二つの映画を紹介したのはほかでもない。作家・志賀内泰弘さんの新刊『気象予報士のテラさんと、ぶち猫のテル』(ごま書房新社)を読みながら、「雨」や「晴れ」、「風」や「雪」など、天気予報には欠かせないこれらの気象用語が、人生のいろんな風景と非常によくマッチすることに気が付いたからである。
その小説に登場する気象予報士のテラさんこと、寺田直之助は、地方のテレビ局に勤務し、夕方のニュース番組の中で5分間の天気予報を担当している。
このニュース番組はいつも一桁台の視聴率なのだが、テラさんが登場する6時55分になると一気に視聴率が20%台に跳ね上がる。超人気コーナーだ。
その秘密は、天気予報のサブタイトルにある。「お天気は人生を教えてくれる」である。テラさんは、明日のお天気情報をただ伝えるだけでなく、ことわざや格言の中にあるお天気言葉を使って、毎日人生の応援メッセージを伝えているのだった。
第一章のテーマは「虹」。「てるてる坊主」という屋号の居酒屋に、化粧品のセールスで飛び込んだ女性の物語である。
彼女は、東北の震災で自分と夫、両方の肉親を失った。震災後は家族4人で再出発するものの、2年後に夫が事故で他界。幼子2人と生きていくべく訪問セールスの世界に足を踏み入れた。しかし、思うように数字が出ない。
その日は朝からずっと雨。たまたま飛び込んだ居酒屋の夫婦に親切にされ、自分の身の上話を語ってしまう。ちょうどその時、テレビからテラさんの声が聞こえてくる。
その日、テラさんが紹介したのはハワイのことわざ「雨がなければ虹は見られない」だった。それを聞いて女性はつぶやく。「あの日から私の心にずっと雨が降っている。私の人生に虹なんて出るの?」
その後、物語は思わぬ方向に展開し、彼女の人生に大きな虹がかかっていく。
さて、あなたの人生は今晴れていますか? 強い雨が降っていますか? 吹いているのは爽やかな春風? それとも冷たい北風? 空の色は?
天気は、人間の意思では変えられないが、受け止め方は自由だ。そもそも天気には良いも悪いもないはず。「雨」や「晴れ」、「風」や「雪」などの自然現象は解釈ひとつで感じ方も見える風景も違ってくる。
だったら「追い風」とか「恵みの雨」みたいに、全部前向きに捉えて、自分の人生の風景に取り入れてみよう。
私もよく話をすることですが、
世の中で起こっている事実は「一つ」です。
その事実をどう捉えるのか?どう考えるのか?どう感じるのか?は、「あなた次第」です。
相田みつをさんの詩で、よく紹介する詩。
「しあわせは いつも 自分のこころが きめる」
「1回でも多く」幸せと感じられる「捉え方」「考え方」「感じ方」ができる人間になりたい!!
そう思って生きています!
悩みや苦しみの「すべての元は、あなた自身」ですよ!!
難しいことですが、そうありたいと思い続けています!!
がんばれ!!日中健児!!