2020/11/26 | 【日進中】11月26日(木)父の本棚 | | by 日進中学校管理者 |
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産業新聞のコラムから
子どものころ、父は私に毎月1冊の本を買ってきてくれました。
「次はどんなお話だろう」とワクワクしながら、その日を待ったものです。
父のあぐらの上に座り、本を読んでもらうひと時が私は大好きでした。
父自身も本をよく読む人でした。「お前も本が好きだな。父さんに似たのかな」
と言われるとうれしかったことを覚えています。
父は私に、本を読むことの楽しさを教えてくれました。
父は21年前に亡くなりました。
それ以降、年に1回の帰省の度に、私は必ず「父の本棚」を開けるようになりました。
変な言い方ですが、父の本棚に呼ばれているような気がしました。
並べられている本は変わらないのに、年齢とともに、私の目に映る本が変わって
いきます。「こんな本があったの?」「こんなことが書いてあったんだ?」と、
父が残した本との新たな出会いがあります。
思春期の息子の「子育て」に悩んだとき、「思春期の子ども」のページに栞が
挟まれた育児書を「父の本棚」で見つけました。
色褪せたページに、父が付けたであろう鉛筆の線を見たとき、
いつも厳しく毅然としていた父もまた、私と同じく、子どもの成長に
戸惑いを感じる親だったんだと驚き、ふっと、肩の力が抜けていきました。
帰京する新幹線の中で、その本を読むとき「大丈夫、大丈夫」と父の声が
聞こえてくるようでした。
人生の選択を迫られたとき、「父の本棚」の中の哲学書の言葉が私を励まし、
背中を押してくれました。
「父さんだったらどうする?」
「何を言うかしら?」
父亡き後も、本を通して、私は父と会話をすることができました。
そして、それらの本は一冊、また一冊と、「父の本棚」から「私の本棚」へと
移っていきました。
そして、今度は私の子どもたちが手にしていくのです。
親から子へと残すものはそれぞれです。
私にとって、父の本は何物にも代えられない大切な財産です。
みなさんは、日中健児の子どもたちに「何を残し」ますか!!
言葉だけではなく、
「背中!」
「行動!」
「本!」・・・・・・・。